天鐘
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 気付けば年が明けて1カ月。きょうから2月である。異称はさまざまある。如月(きさらぎ)は寒さに着物を重ねる衣更着とも。一方で雪消月、梅見月、木芽(このめ)月は小さな春を思わせる。確かに寒の緩みはあるものの、青陽にはまだ早い▼しばれるからこそ、寒干し大根や凍み豆腐の風味は増す。今や屋内となったが、八戸・長根の天然リンクが質の高い油氷と呼ばれたのも、その恩恵である。そして楽しい冬のレジャー、小川原湖の氷上ワカサギ釣りも▼昨年は暖冬に泣かされたが、今年は寒波のおかげで厚い氷が張った。穴から糸を垂らして誘いをかける。ツン、ツンと繊細なアタリが心地良い。小ぶりだが銀白色の美しい魚体。やはり丸ごと揚げて頰張りたい▼極上の味は時の将軍も魅了したらしい。江戸時代、麻生藩(現在の茨城県)は霞ケ浦産の焼いたワカサギを幕府に献上。喜ばれて公儀御用の魚になったという。だから「公魚」と書いてワカサギと読む▼現代における主産地は小川原湖である。シラウオとともに水揚げ量は日本一。さらにはシジミ、天然ウナギ、ヌマエビと豊かな水産資源を誇る。地元住民だけでなく、県民としても声を大にしたい「宝湖」▼古(いにしえ)の人々は、暖かくなって水がぬるみ、割れた氷から魚が飛び跳ねる様子に春を感じた。「魚上氷(うおこおり)をいずる」はもう少し先。ならば今はワカサギ釣りに限る。小川原湖では今月中旬ごろまで楽しめる。