天鐘(1月22日)

物の本によると、きのう21日は「ライバルが手を結ぶ日」だったらしい。幕末期の1866(慶応2)年のこの日、倒幕のために薩摩藩と長州藩が、後に言う「薩長連合」を結んだ▼当時の両藩は互いに相入れない仲。薩摩の西郷隆盛、長州の木戸孝允らの間に土佐.....
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 物の本によると、きのう21日は「ライバルが手を結ぶ日」だったらしい。幕末期の1866(慶応2)年のこの日、倒幕のために薩摩藩と長州藩が、後に言う「薩長連合」を結んだ▼当時の両藩は互いに相入れない仲。薩摩の西郷隆盛、長州の木戸孝允らの間に土佐の坂本龍馬が入って実現させた。一つの目的に向かった共闘は、その後の明治維新という大変革へとつながっていく▼選挙でのライバルの姿はやはり会場にはなかった。独自の離任式を開いて、過去の実績を自画自賛した。「何らかの形で必ず戻ってくる」は、4年後への含みか。意味深長な言葉を残して、嵐のような前大統領は去って行った▼ワシントンでは未明に雨が降った。朝には上がったが、冷たい空気が就任式を包む。注目の第一声は「米国を一つに」。20分余りの演説で重ねた「結束」が、大国の現状を浮き彫りにしていた▼新しい米国がスタートを切った。78歳の新大統領がこぎ出すのは波高き荒海だ。コロナ、経済、気候変動、人種差別。何より「分断」という、前任者の置き土産が横たわる。そして、膨らむ期待の裏では常に失望が口を開ける▼「1月の雪解け」。米国東海岸にはそんなお天気言葉があるそうだ。1月下旬の暖かな日を言うらしい。無論、冷え切った手は容易には結ばれまい。それでも小さな雪解けの始まりを信じたい。深夜のテレビにそう思った。