天鐘(12月28日)

このところ家に届く新聞が分厚い。折り込みチラシの多さに歳末を感じる。例年なら「売り尽くし」だが、コロナ禍の今年は「前倒し」。初売りの混雑を回避する狙いもあって、年明け前に福袋を売り出している▼感染拡大が止まらない。どこもかしこも密の回避に腐.....
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 このところ家に届く新聞が分厚い。折り込みチラシの多さに歳末を感じる。例年なら「売り尽くし」だが、コロナ禍の今年は「前倒し」。初売りの混雑を回避する狙いもあって、年明け前に福袋を売り出している▼感染拡大が止まらない。どこもかしこも密の回避に腐心する。正月の風物詩の様変わりは一部の社寺でも。新年の準備に取りかかる「正月事始め」の今月中頃から、時期をずらして参拝するよう呼び掛けている▼年明け前でも破魔矢や熊手といった縁起物を配布。手水舎のひしゃくを撤去し、体温計を設置し、おみくじを引く際は前後2回の消毒を求める。「幸先(さいさき)詣」とは言い得て妙だが、関係者の労苦もにじむ▼〈とかくして又古郷の年籠(ごも)り〉小林一茶。社寺は地域の信仰の象徴。古くは家長らが集って一夜を明かし、過ぎた1年に感謝しつつ、来る年の豊作や家内安全を祈願した。大晦日から元日にかけての年籠りである▼年越しの風習は後に「除夜詣」「元旦詣」に分化。元旦詣が変遷し、新年初めての参拝を意味する「初詣」として定着したのは明治以降だという。歴史をひもとき、年内のお参りにも御利益があると納得する▼その精神性を思えば、「新しい様式」ではなく「原点回帰」かもしれない。とはいえ例年通りに初詣を予定されている方もおられるだろう。年越しは大寒波。感染防止も防寒対策も、備えが肝要である。