天鐘(11月19日)

日常で使う言葉の中には相撲用語から来たものも多い。「土俵際」や「勇み足」などは一般的だ。逆に、相撲界でも今はめったに使わなくなってしまった言葉もある▼「ソップ型」「アンコ型」はその一つだろう。「ソップ」とは、鶏がらの「スープ」から転じて、や.....
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 日常で使う言葉の中には相撲用語から来たものも多い。「土俵際」や「勇み足」などは一般的だ。逆に、相撲界でも今はめったに使わなくなってしまった言葉もある▼「ソップ型」「アンコ型」はその一つだろう。「ソップ」とは、鶏がらの「スープ」から転じて、やせ型の力士。対して「アンコ」は丸々と太ったタイプを言うが、今やスマートな「ソップ型」は絶滅危惧種のような存在だ▼食糧事情も良くなかった昭和の時代とは違い、最近の力士の体は年々大型化している。どんどん食べて、体を作る。力と勢いで相手を押しつぶす相撲は豪快だ。それこそ、細身はひとたまりもない▼とはいえ、致命的な弱点も併せ持つのがアンコ。その体重を支え切れずに、大けがをしてしまうケースが多い。けがの防止には日頃の鍛錬が欠かせないのだが、さて、そこがどうか。今年はコロナでの稽古不足も指摘される▼かくして11月場所は5人の横綱・大関のうち、4人が休場という寂しさだ。2人の横綱に至っては2場所連続の全休。看板力士が「や」ばかりでは、大相撲そのものが土俵際に追い込まれかねない▼解説の北の富士さんが「最近は早い相撲ばかり」と、大型力士同士のあっけない勝負を嘆いていた。初代貴ノ花の粘り腰、天才・輪島の黄金の左、鋼の肉体は千代の富士…。わが腹回りは棚に上げ、たくましき昔の「ソップ型」を懐かしむ。