時評(11月19日)

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会会議は香港立法会(議会、定数70)の議員資格として中国・香港政府への忠誠を求める基準を決定。香港政府は基準により、民主派議員4人の資格を即日剝奪した。 これに抗議し、残りの民主派議員15人全員.....
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 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会会議は香港立法会(議会、定数70)の議員資格として中国・香港政府への忠誠を求める基準を決定。香港政府は基準により、民主派議員4人の資格を即日剝奪した。[br][br] これに抗議し、残りの民主派議員15人全員が辞表を提出。米欧日は香港の「一国二制度」が崩壊するとして、中国の強権的な手法を批判した。[br][br] 中国は英植民地、香港を返還された際、一国二制度と「高度の自治」を約束していた。民主派や国際社会の批判に耳を傾けて、一国二制度を維持し、香港の民主化を進めるべきだ。[br][br] 昨年、香港では中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模なデモが発生。危機感を強めた中国は今年6月末、民主化運動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)を制定、施行し、香港への統制を強化していた。[br][br] 香港政府は9月に予定していた4年に1度の立法会選挙を、新型コロナウイルス感染拡大を理由に1年延期。国安法への反発が広がる中、民主派の伸長を阻止したい中国政府や親中派の意向をくんだとみられていた。[br][br] 10月から新会期が始まった立法会は、民主派の審議妨害で、再三流会となっていた。香港の林鄭月娥行政長官は混乱収拾のため、全人代に議員資格について審議を要請したもようだ。[br][br] だが、恣意(しい)的に野党議員の資格を奪うなら、立法会は全人代と同様に政府の意のままに立法を行う「ゴム印議会」になってしまう。多様な民意を反映できず、権力への監視機能も失われる。看過できない深刻な事態だ。[br][br] 米欧は高度の自治を約束した1984年の中英共同宣言に反するとして中国を強く非難。菅義偉首相も「重大な懸念」を表明し、香港が一国二制度の下で、自由で開かれた体制を維持するよう求めた。中国は香港への統制強化や、新疆ウイグル自治区などの人権弾圧で、対外イメージが著しく損なわれていることを的確に認識してほしい。[br][br] 中国共産党は10月に開いた重要会議、第19期中央委員会第5回総会(5中総会)のコミュニケに「香港の長期にわたる繁栄と安定を維持する」と盛り込んだ。[br][br] 香港住民の多数は香港基本法(憲法に相当)にあるように一国二制度、高度の自治が守られ、いずれは普通選挙制が導入されるよう願っている。中国は強権で抑え込むだけでは香港の「繁栄と安定」が維持できないことを肝に銘じるべきだ。