天鐘(1月20日)

「冷ゆることの至りて甚だしきときなればなり」。江戸時代に記された『こよみ便覧』の解説である。凍り付くような風が肌を突き刺す。街も野山も白銀に覆われている。まさしく「氷天雪地」の大寒を迎えた▼年の瀬から容赦がない寒さである。総じて気温が上がら.....
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 「冷ゆることの至りて甚だしきときなればなり」。江戸時代に記された『こよみ便覧』の解説である。凍り付くような風が肌を突き刺す。街も野山も白銀に覆われている。まさしく「氷天雪地」の大寒を迎えた▼年の瀬から容赦がない寒さである。総じて気温が上がらず、近年になく積雪も多い。暖かい冬に慣れた体は、厳寒期を迎える前から縮み上がったまま。これから何度、「今季一番の寒波」に見舞われるのだろう▼とはいえ、寒さのピークは春に向けた歩みの始まりでもある。大寒の初候はフキノトウが顔を出す「款冬華(ふきのはなさく)」。ことわざが教えるように「小寒の氷 大寒に解く」とも。徐々に緩みを帯びながら立春に至る▼そして北国に本格的な春の訪れを告げるのが「えんぶり」。そのはずが南部地方や百石に続き、八戸も開催を断念。感染症が猛威を振るう中、やむなしと納得しつつも、さみしさが拭えない。関係者の無念を思う▼「来年こそは」。この1年、事あるごとに言い聞かせてきた。冬の中体連の全国大会、春のうみねこマラソンも中止に。夏の東京五輪を巡ってさまざまな観測が乱れ飛ぶ。「今年もか」とため息が漏れる▼日常生活のみならず季節感を拒み、人生の節目も奪い続けるコロナである。市中感染が確認された変異種も気掛かりだ。先が見えないから疲弊する。いずれ明けるのだろうが、集いを失った“冬”が長い。