天鐘(10月29日)

ネオンに彩られたビル群の谷間。信号が変わると同時に人々が一斉に歩を進める。譲り合いながら流れるように行き交う。東京・渋谷のスクランブル交差点の人通りは世界屈指。都会を象徴する存在でもある▼1回の青信号で3千人、一日に最大50万人が通行すると.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 ネオンに彩られたビル群の谷間。信号が変わると同時に人々が一斉に歩を進める。譲り合いながら流れるように行き交う。東京・渋谷のスクランブル交差点の人通りは世界屈指。都会を象徴する存在でもある▼1回の青信号で3千人、一日に最大50万人が通行するとも。外国人は雑踏を上から眺め、垣間見える秩序に日本人の精神性を感じ取る。雨傘が演出するモザイクアートも美しい。観光スポットとして人気らしい▼流行の発信地。真新しくて楽しい何かを求めて若者らは街へ繰り出す。その好奇心は平時と異なる混沌(こんとん)を生むことも。日本代表が挑むサッカーワールドカップ、年越しのお祭り騒ぎはもはや“名物”である▼間もなくやって来るハロウィーンもしかり。思い思いに仮装した人々が自然発生的に集結して街歩きを満喫する。すっかり定着した秋のイベントだが、一部が暴徒化して器物損壊事件を起こしたのは記憶に新しい▼路上飲酒を禁じる条例の制定、警備の強化。混乱を抑え込むべく、地元関係者が試行錯誤を続ける最中のコロナ禍である。感染拡大への危機感から「今年は来ないで」と頭を下げる。当日は土曜日、果たして▼ハロウィーンの仮装は多くがおどろおどろしい。悪霊を怖がらせて追い払うのだという。ウイルスにも効き目があればいいのだが。感染の増減は拮抗(きっこう)したまま。身を守るのは自衛だと改めて肝に銘じる。