天鐘(1月7日)

今日は「七草」。無病息災を願って昨年も「七草粥(がゆ)」を食したが、新型コロナで惨憺(さんたん)たる1年だった。そこで今年は別にもう一つ、風邪を引かず健康な1年を過ごせるという「七草爪(づめ)」の御利益にすがろうと…▼七草を調べていたら耳慣.....
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 今日は「七草」。無病息災を願って昨年も「七草粥(がゆ)」を食したが、新型コロナで惨憺(さんたん)たる1年だった。そこで今年は別にもう一つ、風邪を引かず健康な1年を過ごせるという「七草爪(づめ)」の御利益にすがろうと…▼七草を調べていたら耳慣れない七草爪に出会った。年が改まって初めて爪を切る日だそうで、七草を浸した水に指を入れ、爪を柔らかくして切る―との説明があった▼〈あかんぼの七種(ななくさ)爪もつみにけり 飴山實〉の可愛い句も。今は便利な「爪切り」があるが、昔は暗い蝋燭(ろうそく)の下、小刀や鋏(はさみ)、鑿(のみ)で爪を切った。「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」は迷信ではなく警告だった▼爪は皮膚が硬く変形したタンパク質。狩りをしない人類には不要と思ったら大間違いだ。指先には骨がなく、爪がなければ細かな手作業も指先に力が伝わらない。足の爪がなければ爪先に力が入らず歩けない▼猫の「鉤(かぎ)爪」、馬の「蹄(ひづめ)」、人間の「扁(ひら)爪」と多様な爪がある。猫が猫らしく、馬が馬らしいのもその行動を支える使い勝手のいい爪があればこそ。こうしてパソコンのキーを打てるのも程いい扁爪のお陰である▼と正月の話題を選んだがコロナの猛威は留まる所を知らない。首都圏に7日にも緊急事態宣言が再発令される。遅きに失し、予習も復習もないその場凌(しの)ぎの対応に見える。これでは「七草」の因習にすがった往古を笑えない。不安な船出だ。