天鐘(11月8日)

米大リーグでの最長試合時間は8時間6分。1984年のホワイトソックスとブルワーズは延長25回を戦った。メジャーには原則「引き分け」がない。とことん戦い、白黒を付ける▼共に勝利を信じて戦うスポーツ。競るほどに勝者の歓喜と敗者の落胆の差は大きい.....
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 米大リーグでの最長試合時間は8時間6分。1984年のホワイトソックスとブルワーズは延長25回を戦った。メジャーには原則「引き分け」がない。とことん戦い、白黒を付ける▼共に勝利を信じて戦うスポーツ。競るほどに勝者の歓喜と敗者の落胆の差は大きい。そのコントラストが際立つほど名勝負と言われ、後世に語られる。ただ、全ての熱戦が感動を呼ぶとは限らない▼昨年のラグビーW杯は世界が燃えた。だが、決勝で敗れたイングランドは、悔しさから表彰式で銀メダルを首に掛けようとしなかった。Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎さんは「頭にきた」と言う。勝つことだけが大事か、と▼「グッドルーザー」という英語がある。直訳すれば「良き敗者」。敗れてなお相手をたたえ、毅然(きぜん)として去って行く。スポーツが輝くのは、そんな“負けっぷり”のいい、誇り高き敗者がいるからだ▼ラグビーに「ノーサイド」がある。カーリングは敗色濃厚ならば「ギブアップ」と握手を求める。スポーツだけではない。「負けました」と潔く頭を下げる囲碁・将棋。いずれも相手への敬意を込めた、美しき敗者の姿だ▼さて、米大統領選である。長い長い延長戦も決着へ向かっている。だが、劣勢が伝えられる側は何があっても負けは認めない構えだ。戦う者としてのプライドはどこへ。見せられる側もつらくなる、悲しき大一番である。