天鐘(11月14日)

糖尿病と言えば藤原道長。平安時代、摂政として権勢を欲しいままにしたが「蘇密(そみつ)」(チーズに蜂蜜をかけたようなもの)が好物で、糖尿病を患い合併症も併発し、62歳で死んだ▼『源氏物語』の主人公光源氏のモデルとして有名だが、50歳を過ぎると.....
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 糖尿病と言えば藤原道長。平安時代、摂政として権勢を欲しいままにしたが「蘇密(そみつ)」(チーズに蜂蜜をかけたようなもの)が好物で、糖尿病を患い合併症も併発し、62歳で死んだ▼『源氏物語』の主人公光源氏のモデルとして有名だが、50歳を過ぎると急激に痩せ細り、よく水を飲んだ。権力闘争のストレスに加えて運動不足、連夜の宴会と現代とさほど変わらない生活ぶりだったようだ▼日常を記した『小右(しょうゆう)記』には、背中に腫れ物ができて視力も低下とあり、晩年の“光源氏”は糖尿病末期の合併症に苦しんだ。また源頼朝も「飲水により重病」(『猪隈(いのくま)関白記』)と糖尿病の疑いが持たれている▼頼朝の死因は落馬説が有力だが、糖尿病から脳梗塞を併発して馬から落ちたとの説もある。織田信長の残虐さも糖尿病神経障害が元で、手足の関節に走る激痛でイライラが高じ、比叡山を焼き打ちにしたと…▼こうなると悪事、凶事は皆糖尿病のせいに。と言って血管が脆もろくなり、網膜症や脳梗塞、心筋梗塞、感染症、尿毒症と全身に合併症を引き起こす糖尿病は、やはり百害あって一利なし。病魔の元凶に変わりはない▼日本人男性の27%、女性の22%が糖尿病か予備軍。認知症や悪性腫瘍、さらには新型コロナの感染リスクをも高める“国民病”である。今日は「世界糖尿病デー」。医療施設をブルーにライトアップして憎っくき病を追い払う。