天鐘(1月16日)

高校2年生のとき、大学入試の制度が変わった。書けば年がバレるが、それまでの記述式からマークシートになった。もう40年以上も前。今はなき「共通一次試験」の導入である▼受験を控えた3年生から、ため息が漏れた。複数の受験が可能だった国公立大は“一.....
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 高校2年生のとき、大学入試の制度が変わった。書けば年がバレるが、それまでの記述式からマークシートになった。もう40年以上も前。今はなき「共通一次試験」の導入である▼受験を控えた3年生から、ため息が漏れた。複数の受験が可能だった国公立大は“一発勝負”に。最初から背水の陣だが、前例がないために希望校の合否ラインが読めない。皆、頭を抱えていた▼一方、自分たちは先生からこんなふうに励まされたのを覚えている。「3年生が“実験台”になって前例を作るからお前たちは大丈夫」。随分な言い方だが、先輩たちの苦労を思った。考えてみれば、不運な巡り合わせである▼今日から、新しい「共通テスト」が始まる。センター試験を引き継ぎ、より判断力や表現力を重視するという。従来より難しくなっていると聞く。不安な朝を迎えた受験生たちは多いことだろう▼英語や記述式問題の導入を巡って、すったもんだがあった。大切な期間に大人の都合で振り回された。おまけに、ここに来て大変なコロナ。さまざまな制約の中で難関に挑む。それこそ不運な巡り合わせとしか言いようがない▼言いたいことは山ほどあろう。同時に、覚悟を決めての受験でもある。先輩たちに助けられた身として、気の利いた助言は持ち合わせない。なので、蕪嶋神社で見た絵馬にあった言葉を。「普段の力が出せますように」。頑張れ。