天鐘(11月1日)

流行に敏感な同僚から「キャンプをします」と連絡が入ったのは2週間ほど前。日中はともかく、朝晩はだいぶ寒い。初挑戦にしてはハードルが高い。無謀な試みを冷やかすために、差し入れを持って現地へ▼オートキャンプ場の区画は大半が埋まり、想像以上ににぎ.....
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 流行に敏感な同僚から「キャンプをします」と連絡が入ったのは2週間ほど前。日中はともかく、朝晩はだいぶ寒い。初挑戦にしてはハードルが高い。無謀な試みを冷やかすために、差し入れを持って現地へ▼オートキャンプ場の区画は大半が埋まり、想像以上ににぎわっていた。笑顔でテーブルを囲む家族連れ。そして一人で黙々とテントを設営する愛好家の方々も。話題の「ソロキャンプ」。人気は本物のようだ▼1990年代に続く第2次ブームだという。大きな要因とされるのがSNS(会員制交流サイト)。キャンプの非日常は「インスタ映え」にぴったり。魅力がインターネットを通じて拡散され、裾野(すその)が広がった▼たき火の動画も注目度が高い。不規則に変化する炎の動きは「1/f(エフ分の1)ゆらぎ」。自然界の普遍的な現象は生体のリズムに近く、安らぎを与えるという。東京工業大名誉教授の武者利光さんの解説である▼たき火だけではない。小川のせせらぎ、そよ風、小鳥のさえずり、星の瞬(またた)きも。キャンプには全てがある。豊かな自然に抱かれて過ごす時間がぜいたくなのには科学的な理由があった▼♪たきびだ たきびだ おちばたき―。童謡に登場する光景は今や昔、火を目にする機会そのものが減った。だが、その癒やし効果を思えば、人類に文明をもたらした焰(ほむら)は、やはり現代にも通じる最大の発明なのだろう。