天鐘(1月21日)

庭の桜の木を切ってしまったジョージ少年。父の詰問に「ごめんなさい。僕が斧で切りました」と素直に謝った。すると父は「よく正直に話してくれた」と褒めてくれた▼米国初代大統領ワシントンの有名な逸話だが、正直さを教えるために“盛った”創作とか。だが.....
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 庭の桜の木を切ってしまったジョージ少年。父の詰問に「ごめんなさい。僕が斧で切りました」と素直に謝った。すると父は「よく正直に話してくれた」と褒めてくれた▼米国初代大統領ワシントンの有名な逸話だが、正直さを教えるために“盛った”創作とか。だが、実際に彼は歩み始めた米国が求める「英雄」に相応(ふさわ)しく、勇気と倫理観を備えた大統領として勤勉に執務した▼それから200年余。不動産業を営む父が息子に「この世には2種類の人間がいる」と教えていた。「相手の息の根を止める者」と「敗れ去る者」。弱肉強食の世を生き延びるにはどんな手を使ってでも勝て―と▼45代大統領ドナルド・トランプ氏が叩(たた)き込まれた“教義”だ。米国第一、白人至上、国境の壁、コロナは消える、批判はフェイク、パリ協定にイラン核合意からの離脱…。なるほど、どれも教義の線上にある▼そして大統領選の敗北―。もう一つの米国を引き連れ、向かった先にあったのは分断と孤立である。敗北が許されない彼は訴訟を連発して足掻(あが)き、ついには歴史に悪名を刻むだろう連邦議会への乱入襲撃事件に…▼4年間、米国が探し求めてきたものは? 20日(現地)はジョー・バイデン氏の大統領就任式。政権が無事に交代し国内外で開いた分断の傷口が一刻も早く癒えるよう祈りたい。そして民主主義の確固たる再生を願わずにはいられない。