天鐘(12月16日)

「密」。世相を一文字で表す「今年の漢字」は、やはりコロナだった。先に発表された「新語・流行語大賞」も「3密」。日々の暮らし、仕事、学校生活の全てが、厄介な感染症に翻弄(ほんろう)され続けた1年である▼「驚」。春先の一斉休校はあまりに唐突だっ.....
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 「密」。世相を一文字で表す「今年の漢字」は、やはりコロナだった。先に発表された「新語・流行語大賞」も「3密」。日々の暮らし、仕事、学校生活の全てが、厄介な感染症に翻弄(ほんろう)され続けた1年である▼「驚」。春先の一斉休校はあまりに唐突だった。政府の混迷はこの時に始まったような気がする。「仕事を休めない」「子どもの居場所は?」。具体的な手当てを用意しないまま、官邸が独走して号令を発した▼「困」。マスク難民の救世主となるはずが、集中砲火を浴びた“アベノマスク”である。洗って繰り返し使えるとはいえ、サイズが一回り小さい。調達に要した多額の予算、異物の混入も悪評に拍車をかけた▼「遅」。「Go To トラベル」が全国で一時停止される。小出しの運用見直しから急転直下。“勝負の3週間”も第3波の勢いは衰えを見せない。経済を回す肝いり政策も、批判の高まりに押し切られた▼「揺」。時のリーダーの決断、こだわりが国民を振り回してきた。民間の有識者会議は10月、右往左往した政府の対応を「場当たり的」と断じている。重い指摘と教訓は生かされているか▼「望」。弘法大師は「身(行動)」「口(言葉)」「意(心)」を整えるよう説いた。密教における三密である。コロナ対策に重ねれば適切な判断、明確なメッセージ、共感を伴う信条になろうか。政府にも三密を願いたい。