天鐘(1月17日)

花火は華やかだ。夏の風物詩ではあるものの、冬は美しさがひときわ映える。夏に比べて湿度が低く、ちりも少なく大気が澄んでいるから、光の錯乱が起こりにくい。星がより輝きを増すのも同じ理由である▼おぞましい乱れ打ちの花火だった。闇夜を引き裂く空爆の.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 花火は華やかだ。夏の風物詩ではあるものの、冬は美しさがひときわ映える。夏に比べて湿度が低く、ちりも少なく大気が澄んでいるから、光の錯乱が起こりにくい。星がより輝きを増すのも同じ理由である▼おぞましい乱れ打ちの花火だった。闇夜を引き裂く空爆の同時中継が脳裏に焼き付いている。「湾岸戦争」が勃発したのはちょうど30年前。リアルタイムで全世界が“視聴者”となった初めての戦争とされる▼多国籍軍が見せつけた圧倒的な軍事力。クウェートに侵攻したイラクは1カ月半で撤退する。米国とソ連の「二極支配」から、国際社会の統一行動による「新世界秩序」へ。冷戦後の世界の変化も印象付けた▼一方で憲兵たらんと世界を主導した米国の覇権意識は、怨嗟(えんさ)の連鎖を招く。2001年の「米中枢同時テロ」はその象徴。11年の「アラブの春」では独裁政権の崩壊が相次ぐも民主化は遠く、混迷が今も続く▼そして日本。湾岸戦争での資金提供が「小切手外交」と批判を浴び、いよいよ自衛隊を海外に派遣する。PKO協力法、テロ対策特措法、安保法。違憲とも指摘される政策の大転換は、中東発の大事件と重なる▼あの日から30年。米国で新政権が発足し、中国共産党は100周年を迎える。世界の秩序が流動化する中、わが国は。来る衆院選で問われるテーマの一つでもあろう。派手な打ち上げ花火には惑わされまい。