天鐘(11月20日)

「さあ、行こう」。59年前、東西冷戦の最中、ソ連のガガーリンがボストークで宇宙に飛び出す際に発した一言だ。結果は米ソの“宇宙戦争”を制し、人類初の宇宙飛行士になった…▼宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西卓哉さんはソユーズ打ち上げの際、「.....
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「さあ、行こう」。59年前、東西冷戦の最中、ソ連のガガーリンがボストークで宇宙に飛び出す際に発した一言だ。結果は米ソの“宇宙戦争”を制し、人類初の宇宙飛行士になった…▼宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大西卓哉さんはソユーズ打ち上げの際、「俎板(まないた)の鯉で、怖いという感覚は吹き飛んでいた」と証言。フワッと打ち上がり“お釈迦(しゃか)様の掌(てのひら)”に乗っている感覚―と表現した▼一方のボストークはハッチの調整不備などの不安を抱えたままの発射で、一言の前に「もういいよ!」があったようにも。米ソ(ロシア)ともに重大事故の発生確率は約2%。飛行機なら誰もが尻込みする確率だ▼ソユーズの帰還失敗やスペースシャトルの空中分解などで計19人の飛行士が死亡。掠(かす)める恐怖をあらゆる事態に備えた訓練で克服、冷静に任務に当たってきたが、最後の一押しはやはり「夢の実現」のようだ▼米スペースXの新型宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に到着。JAXAの野口聡一さんら日米4人の飛行士が乗り移った。実はこの瞬間が最も怖くて、窓から見える地球に落ちていく錯覚に囚(とら)われるとか▼民主導の打ち上げで宇宙開発の商業化時代が到来。2023年にISSから月に向かう巨大宇宙船、24年には月面に降り立つ着陸船を開発中だ。冷戦下の競争は捨て、宇宙への畏怖と畏敬を忘れずに壮大な夢を叶(かな)えてほしい。