天鐘(1月8日)

「努力は積み重ねるから崩れる。積み重ねなければ決して崩れない」。達者な話術で知られるタレント伊奈かっぺいさんのネタだ。昔、うまいことを言うものだと感心しながら聞いた▼昨日の菅義偉首相の会見を、重ねた努力が崩れていく思いで見つめたのは、筆者だ.....
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 「努力は積み重ねるから崩れる。積み重ねなければ決して崩れない」。達者な話術で知られるタレント伊奈かっぺいさんのネタだ。昔、うまいことを言うものだと感心しながら聞いた▼昨日の菅義偉首相の会見を、重ねた努力が崩れていく思いで見つめたのは、筆者だけだったか。首都圏の1都3県に再び緊急事態宣言が出された。「振り出し」に戻ったようなむなしさである▼昨年春の、最初の宣言のころを思い出す。全国の感染者数は4千人台。「7~8割の接触減」に、国民一丸で取り組んだ。一月半で解除となったのは「日本モデルの力」と、当時の安倍首相。今のこの状況を誰が予想しただろう▼今回は「限定的、集中的」だという。ただ、感染拡大の勢いは当時とは桁違いだ。緩やかな対応で、果たして押さえ込むことができるか。片や、多くの飲食店から「もう限界」の悲鳴が漏れる▼日本で初の感染者が報告されて一年になる。未知なるウイルスへの対策が手探りなのは分かる。だが事ここに至って、いまだ決め手を見つけられない。遅さが目立つ政府対応、自治体との連携のまずさ、発信力不足も指摘される▼昨日、東京の感染者がついに2千人を超えた。大波は既に地方に及んでいないかと心配になる。もはや青森、岩手も人ごとではないが、求められるものは変わらない。マスク、手洗い、3密回避。努力を積み重ねるしかない。