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 【サンパウロ共同】「新型コロナウイルスで苦しむ患者の手を握ってあげたい」―。このような願いに応える、ブラジルの看護師考案の工夫が話題を呼んでいる。手術用手袋にぬるま湯を入れて隔離患者の手を包む。湯たんぽと同様の効果で、患者にぬくもりを与える「神の手」のようだと称賛されている。[br][br] 地元メディアによると、リオデジャネイロの看護師リジアネ・メロさん(37)が考案した。2枚の手袋にぬるま湯を入れて口を閉じ、患者の手のひらと甲の両側からすっぽり包み込む。集中治療室(ICU)で面会すら許されない患者に、家族らの代わりに手を握っているかのような感覚を与える。[br][br] メロさんは昨年、新型コロナ患者の手が冷えていて、血中酸素濃度を計測できない経験をした。ガーゼなどで温めようとしたがうまくいかず、この手袋で包んだところ血流が良くなり測ることができた。[br][br] 効果はそれだけではなく、不安で取り乱していた患者が「誰かに手を握られているようだ」と安心感を得たという。3月にフェイスブックで紹介したところ、国内外で話題を呼んだ。メロさんは「多くの医療者が人間味のあるケアをしたいと望んでいるが、患者が多いためできずにいる。このアイデアが広がり、うれしい」と話した。[br][br] 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長もツイッターに「患者を励ますための信じられない方法に称賛を表す言葉がない」と投稿した。 看護師のメロさんが考案した、ぬるま湯を入れて手を包むように工夫した手術用手袋=4月、ブラジル・リオデジャネイロ(AP=共同)