【森友問題の決裁文書改ざん】後ろ向きの情報開示、国に不信 裁判所の指揮注目

 赤木俊夫さんの手書きの遺書。「これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」などとつづられていた
 赤木俊夫さんの手書きの遺書。「これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」などとつづられていた
元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん=当時(54)=が自殺し3年余り。決裁文書改ざんの経緯がまとめられたファイルの存在を国側が認めた。本省の指示を受け、現場で何が起きていたのか―。訴訟で遺族側は空白部分の解明を求めてきた。森友学園問題で国側.....
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 元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん=当時(54)=が自殺し3年余り。決裁文書改ざんの経緯がまとめられたファイルの存在を国側が認めた。本省の指示を受け、現場で何が起きていたのか―。訴訟で遺族側は空白部分の解明を求めてきた。森友学園問題で国側は情報公開に後ろ向きで国民の信頼を失った。ファイルの開示に向け、裁判所の指揮が注目される。[br][br] ▽しっぽ[br] 政権関係者はファイルについて「『存在しない』とは元々言っておらず、『確認されていない』としてきた。今回、存在が確認できたから出すだけだ」と説明し、方針を転換したわけではないと強調する。ただ、政権内では「『ちゃんと探しなさい』と言われれば、裁判所の要請はむげにはできない」(幹部)との声が出ていた。菅義偉首相は官房長官として森友問題の矢面に立ち続けた経緯がある。政府筋は「国民の関心は別に移ったのではないか」とし、政権への影響は限定的だとの見方を示した。[br][br] 「これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる」。赤木さんは手書きの遺書にそうつづり、2018年3月に自殺した。財務省の調査報告書によると17年2月17日、安倍晋三首相(当時)が森友学園への国有地売却について、昭恵夫人も含め関与を全面否定したことなどを契機に森友との交渉記録が廃棄された。佐川宣寿理財局長(同)が「政治家関係者の記載のある文書は外に出すべきではない」と述べ、改ざんが進められた。[br][br] 多くの近畿財務局職員が反発したが、理財局の立場をおもんぱかって協力したのが実態とした。赤木さんの関与や、財務局内での作業の詳細は明らかにされていない。[br][br] ▽手 帳[br] 妻雅子さんの代理人弁護士によると、近畿財務局の統括国有財産管理官を務め、赤木さんの上司だった池田靖氏は雅子さんに対し「前の文書や修正後の文書など、何回かやりとりしたようなやつがファイリング(されていた)」と証言していた。[br][br] 森友問題は大阪地検特捜部がかつて捜査し、赤木さんの手帳には改ざん後の17年6月8日の欄に「検察からの要請(PCオフラインメールコピー作業)」と記されていた。翌日には「オフライン上メールコピー作業」、同18日には「送受信メールの出力」との記述もある。雅子さん側はファイルに理財局と近畿財務局とのメール記録などがあるとしてきた。[br][br] ▽心 証[br] こうした細かな主張が実を結び、焦点はどの程度、ファイルの内容が開示されるかに移る。森友問題では国側の情報開示の姿勢に疑問符が付いてきた。交渉記録が当初開示されず、精神的苦痛を被ったとして大学教授が損害賠償を求めた訴訟では、大阪地裁が昨年6月の判決で不開示は「情報公開法上、明らかに違法」と指摘。近畿財務局が文書の一部を行政文書として保有していたのは明らかなのに、「文書不存在」を理由に不開示にしたことなどを挙げ「相当に悪質だ」と断じた。[br][br] NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は今回の国の判断を「秘密文書として提出を拒めば裁判官に与える心証が悪くなる。ダメージコントロールが働いた」と分析。一方で「赤木さんが強制された行為に関係する部分しか開示されないのでは」と懸念し「通常の事案以上に情報を公開しないと、もう誰も政府を信じない」と指摘した。 赤木俊夫さんの手書きの遺書。「これが財務官僚王国 最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ」などとつづられていた