【青森県農協中央会役員人事】幹部同士の対立、収拾せず 「あきれた」生産者に不信感

役員間の対立が続く青森県農協中央会が入居する県農協会館=4月、青森市
役員間の対立が続く青森県農協中央会が入居する県農協会館=4月、青森市
青森県農協中央会(阿保直延会長)が役員人事を巡り揺れている。農協組合長ら役員の一部で現体制に対する不満から対立が生じ、6月の役員改選に向けた日程も白紙状態が続く。県内農政を担うかじ取り役の“お家騒動”に対し、県南地方の生産者からは「あきれた.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県農協中央会(阿保直延会長)が役員人事を巡り揺れている。農協組合長ら役員の一部で現体制に対する不満から対立が生じ、6月の役員改選に向けた日程も白紙状態が続く。県内農政を担うかじ取り役の“お家騒動”に対し、県南地方の生産者からは「あきれた」「役員全員を代えるべきだ」などと厳しい声が相次ぐ。中央会の存在意義が問われる今回の騒動について、識者は中央会の農業振興策自体は評価しつつ、早期の騒動終息とイメージ回復を望んでいる。[br][br] 県中央会では昨年から役員人事で衝突が続く。前任者の辞任に伴う副会長選出では、八戸農協の山美喜正組合長が5度立候補したが全て否決された。[br][br] 4月12日に開かれた役員推薦会議では、次期理事・監事に立候補していた11人全員の推薦が否決される異例の事態に。また、新たな役員改選の日程を決めるため、同27日に急きょ行われた臨時理事会も候補者の選出方法で紛糾し、採決が持ち越しになった。[br][br] こうした中央会のいざこざに生産者は怒りを見せる。[br][br] 「正直言って不信感しかない」。十和田市の農家の男性(41)は厳しい口調で非難する。担い手不足や所得向上対策など農政を取り巻く課題に触れ、「将来を見据えた議論をしてほしい」と要望する。[br][br] 三沢市でコメを生産する農業法人代表の男性(63)は「あきれた。今の時期にナンセンスすぎる」と切り捨てる。八戸市の農家の男性(58)は「コロナ禍の今こそ一致団結していかなければならない時期に…」と困惑顔。南部町の農家の男性(56)は「ずっと見守ってきたが、こんなことが続くなら全員刷新した方がいい」と息巻く。[br][br] 生産者の不信感が高まる中、農協の組織体制などに詳しい弘前大農学生命科学部の正木卓助教(38)は「今回のトラブルとは別にして、中央会自体は農業振興に向けた事業を次々と打ち出している」と評価する。[br][br] 最近の県中央会の取り組みとして、求職者と人材不足の農家をつなげる無料相談窓口の設置や、農家の新たな事業承継の形として注目される「第三者承継」の普及に力を入れている。[br][br] 着目すべき点はある一方、県中央会の役割を伝えるPR活動が少ないことを挙げ、騒動の早期終息に努めるとともに「存在意義を多くの生産者や一般の人たちに広報する必要はある」と強調する。役員間の対立が続く青森県農協中央会が入居する県農協会館=4月、青森市