【半導体強化戦略】世界シェア激減に危機感 技術遅れや巨額負担など課題も

 日本の半導体産業の世界シェア
 日本の半導体産業の世界シェア
政府が半導体の安定調達に向けた新戦略を打ち出す。日本の世界シェアが激減していることへの危機感が背景にあり、台湾メーカーから多くを調達しているため、有事のサプライチェーン(供給網)寸断のリスクも現実味を帯びる。安定確保には政府主導の戦略実行が.....
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 政府が半導体の安定調達に向けた新戦略を打ち出す。日本の世界シェアが激減していることへの危機感が背景にあり、台湾メーカーから多くを調達しているため、有事のサプライチェーン(供給網)寸断のリスクも現実味を帯びる。安定確保には政府主導の戦略実行が求められるが、技術の遅れや巨額の負担など課題も多い。[br][br] ▽将来「ゼロ」[br] 日本の半導体は1980年代後半、世界シェアの50%超を占めた。その後は開発と製造を分業にする世界的な潮流を見誤り、効率化を徹底した海外メーカーの台頭を許した。2019年のシェアは約10%まで下落。技術的な遅れもあり「将来はゼロになりかねない」(経済産業省)という。[br][br] 先端半導体は世界的に有力な台湾メーカー「台湾積体電路製造(TSMC)」がリードする。国際競争に日本勢が絡むことは理想だが、技術の差は大きく「先を行く台湾に追随するのは難しい」(国内半導体メーカー関係者)のが現実だ。[br][br] 台湾を巡っては米国が中国をにらんだ有事の可能性に警鐘を鳴らす。地域情勢の緊迫化を念頭に置けば、台湾からの輸入に頼る日本の現状には懸念もある。TSMCは日本で研究開発の子会社を設立すると発表したが、政府が求めた生産拠点の設置には応じていない。[br][br] ▽手厚い支援[br] 半導体工場の新設には数千億円規模の資金が必要とされる。国内メーカーの担当者は「投資額が大きく、固定費を負担してまで自前で生産をやっていこうというメーカーは世界でも限られている」と話す。[br][br] 各国は半導体確保に必死だ。米国は3月に発表した250兆円規模の巨額インフラ投資計画に半導体生産の補助金を盛り込み、欧州連合(EU)も半導体分野への巨額投資を表明。日本の生産体制を増強するには、政府による手厚い支援が欠かせない。[br][br] 一方、最近ではルネサスエレクトロニクスの茨城県の工場で火災が発生し、生産を一時中断するなど国内勢の足元はおぼつかない場面も目立つ。米中対立を背景に半導体を巡る国際環境が急速に変化する中、政府が目指す体制強化への道は険しそうだ。 日本の半導体産業の世界シェア