「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さん=当時(77)=を2018年に殺害した容疑で逮捕された元妻須藤早貴容疑者(25)が、野崎さんと2人きりで夕食を取っていたことなどから、県警がこの際に覚醒剤を混入し摂取させた疑いがあるとみていることが3日、捜査関係者への取材で分かった。事件が計画的だった可能性があるとみて調べている。[br][br] 捜査関係者によると、須藤容疑者は逮捕後の取り調べに、淡々とした様子だという。[br][br] 野崎さんは18年5月、自宅で急性覚醒剤中毒で急死。解剖の結果、致死量を超える覚醒剤が胃の内容物から検出された。捜査関係者によると、自宅1階の台所でも覚醒剤が検出。野崎さんは夕食時によくビールを飲んでいたが、自宅や関係先にあったビール瓶約2千本からは検出されなかった。[br][br] 事件当日の午後、家政婦は夕食を用意し外出。夕食前後の約4時間、自宅にいたのは野崎さんと須藤容疑者だけだった。容疑者が事件前に薬物入手や殺害の方法を検索していたことや、田辺市内で密売人に接触し覚醒剤を入手した疑いがあることも既に判明している。[br][br] こうした点から県警は、須藤容疑者が事前に覚醒剤を用意し、2人きりになった時間帯を狙って夕食に混入させた疑いがあるとみている。[br][br] 野崎さんは月100万円を渡す約束をして須藤容疑者と結婚したが、事件前に離婚を要求。県警は離婚話が殺害の契機になった可能性もあるとみている。県警は容疑者の認否を明かしていないが、事件後の任意の事情聴取に関与を否定していた。