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 青森県を地盤とする青森銀行とみちのく銀行は、経営統合に向けた協議入りを14日に正式発表する。人口減少や低金利といった厳しい経営環境の中、規模拡大によるメリットを生かした経営で、収益力強化を狙う。一方、両行は企業風土が大きく異なり、行員の融和には曲折が想定される。みち銀の抱える公的資金の返済が“足かせ”になる可能性も。統合は本当に地域のためになるのか。利用者の不安払拭(ふっしょく)も、取り組むべき大きな課題となる。[br][br] ■異なる企業風土[br] 同一地盤で半世紀以上、ライバルとして競い合ってきた両行。企業風土は大きく異なり、「経営状況的に統合やむなしだとしても、現場の行員が実際に一緒に働くイメージは湧かない」という声は、県内の金融業界内外から聞かれる。[br][br] 県内初の銀行として開業した青銀は、官公庁や比較的大規模な企業を顧客に抱え、着実に勢力を拡大した。一方、みち銀は、中小企業や市民を顧客とし、函館やロシアなど県外へも果敢に打って出ることで成長してきた。[br][br] 「青銀が横綱相撲を取る中、みち銀は這(は)いつくばってでも勝負してきた。対抗意識はとても強い」と地元の経済関係者。「融資の姿勢も違い、業務に対する考え方を擦り合わせるだけでも、多大な労力が掛かるだろう」と指摘する。[br][br] ■公的資金の重荷[br] 経営統合の背景には、みち銀の抱える公的資金の存在が見え隠れする。2009年に注入された200億円の返済期限は24年9月末と約3年後に迫る。[br][br] 収益環境の改善が見込めない中、「単独での返済は厳しく、最悪の事態を回避するため、(再編を求める)中央の意向に従わざるを得なかったのでは」(地元金融機関の幹部)との見方もある。[br][br] 仮に経営統合までに公的資金の返済が残っていた場合、青銀にも負担が生じることになり、その後の組織運営に大きな影響が出かねない。統合協議で、大きな議題の一つになると予想される。[br][br] 青銀の中堅行員は「負の遺産を抱えたままの経営統合なら救済の意味合いが強くなり、疑問が残る」と懸念を口にし、「ある程度身をきれいにしてもらいたい」と注文を付ける。[br][br] ■影響を不安視[br] 「2行あったことで選択肢があったが、それが一つになれば、お金を借りにくくなるのでは」[br][br] 八戸市の男性経営者は経営統合による事業者への影響を不安視する。[br][br] 地銀を取り巻く環境が厳しさを増す中、経営基盤強化が急がれる。統合の利点は、店舗網や人員配置を見直すことで無駄を省き、経営資源を企業支援などに振り向けられる点にある。[br][br] ただ、競争関係がなくなり、金利面などでサービスの質が低下する恐れはないのか。[br][br] 別の経営者は「時代の流れで経営統合は仕方がない」と理解を示した上で、「一層充実したサービスを提供してくれるように進んでほしい」と訴える。支店が近接する青森銀行とみちのく銀行=13日、青森市