天鐘(6月6日)

新型コロナウイルス対策を巡る「新しい生活様式」。言い回しが大仰(おおぎょう)で、中身も「身体的距離の確保」と堅苦しい。要は人との間隔は2メートルは空けましょうという新マナーだ▼マスクに手洗いの基本に会話は控えめ、大勢の会食は避けるなど3密回.....
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 新型コロナウイルス対策を巡る「新しい生活様式」。言い回しが大仰(おおぎょう)で、中身も「身体的距離の確保」と堅苦しい。要は人との間隔は2メートルは空けましょうという新マナーだ▼マスクに手洗いの基本に会話は控えめ、大勢の会食は避けるなど3密回避が加わった。それだけのことだが枝葉が広がると実践は意外に難しい。店のレジに並ぶ際はマスクを着け床に張られた“足跡”に立つ▼その通り並んでいると後ろの高齢男性が咳き込んだ。マスクもせず肘で覆いもしない。「コンコン」と乾いた咳に皆眉を顰(ひそめ)た。何か注意を―と思った途端、隣から「迷惑だ。マスクぐらいしろよ」ときつい一言▼一瞬睨(に)らみ合ったが、毅然(きぜん)とした忠告に高齢者は捨て台詞を残し列を離れた。咳や人との間隔違反にどう対処したらいいのか―。マスクを巡り電車を止めた諍(いさか)いもあった。穏やかな解決はなかなか至難のようだ▼闘争ホルモンのノルアドレナリンにブレーキを掛ける前頭前野が老化で萎縮すると暴走老人に。一方、悪を正すドーパミンが前頭前野を興奮させると相手を責める制裁行動が止まらない(中野信子『キレる!』)▼たかがの原因でもコロナが絡めば口調もきつく“キレる老人”や過激な“自粛警察”も出現。自粛の神経戦で荒(すさ)んだ心が逆なでされ、人と人、国と国との衝突も頻発している。人が人である証し「前頭前野」をコロナ禍から守らねば―。