時評(5月26日)

政府は新型コロナウイルス特措法に基づき東京、神奈川、千葉、埼玉と北海道の5都道県に発令していた緊急事態宣言を解除した。宣言は他の42府県では既に解除されており、4月7日に発令されて以来、約7週間ぶりの全面解除となった。 宣言を発令した際に政.....
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 政府は新型コロナウイルス特措法に基づき東京、神奈川、千葉、埼玉と北海道の5都道県に発令していた緊急事態宣言を解除した。宣言は他の42府県では既に解除されており、4月7日に発令されて以来、約7週間ぶりの全面解除となった。[br] 宣言を発令した際に政府は国民に対し、不要不急の外出や都道府県をまたぐ移動を自粛し、人との接触を7~8割減らすよう呼び掛けた。宣言を受けて全国の自治体は、学校を休校にしたほか、さまざまな業種に休業や営業時間短縮の要請や指示を行ってきた。[br] ほとんどの国民は不自由な生活を強いられながらも国や自治体の要請に従った。その結果、人と人との接触を7~8割削減するとの目標はおおむね達成された。一時は200人を超えた東京の1日のコロナウイルス新規感染者数は大きく低下し、宣言解除の大きな根拠となった。[br] 一足先に宣言が解除された大阪などでは大半の休業要請が終了し、街には人出が戻ってきている。東京都も外出自粛や休業要請の解除や緩和に段階的に踏み切る方針だ。学校の授業も日本各地で再開し始めている。[br] むろんコロナ以前の日常に戻れるわけではない。感染拡大の第2波到来は不可避だとの見方が大勢を占める。緊張感を持ち続け、不要不急の外出や遠出を極力控え、「3密」を避けるなど、経済活動と感染防止を両立させる「新しい生活様式」を定着させていきたい。[br] そして再び感染が拡大し始めた場合に医療崩壊が起きないよう、疲弊している各地の医療体制を今のうちに立て直すことが急務だ。他国に比べて圧倒的に少ないPCR検査の数も大幅に増やしていく必要がある。[br] 緊急事態宣言は国民の自重と医療従事者の献身的な尽力によってひとまず解除された。だが、その裏では多くの人たち、とりわけ社会的弱者には大きな負担と痛みを強いる結果となったことを忘れてはならない。[br] 既に小規模事業者を中心に破綻や廃業が相次いでおり、パートなど多くの非正規従業員らが職を失っている。[br] これからの教育行政には、長い間学校に行けず、ストレスのたまった子どもたちの心のケアをして、学力を取り戻させることが不可欠だ。[br] 政府と各自治体には、経済の悪化と失業者の急増を食い止め、国民が平穏な日常を早く取り戻せるよう柔軟な思考で迅速、効果的な施策を繰り出すことが求められる。為政者の想像力と決断力が試されている。