時評(2月24日)

八戸市が2020年度一般会計当初予算案を発表した。地盤沈下が進む中心街への集中投資の締めくくりとして、新美術館の建設が本格化。にぎわいの再生を目的に多額の税金を投入してきただけに、結果を出す戦略が求められる。 小林眞市長が就任してからの14.....
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 八戸市が2020年度一般会計当初予算案を発表した。地盤沈下が進む中心街への集中投資の締めくくりとして、新美術館の建設が本格化。にぎわいの再生を目的に多額の税金を投入してきただけに、結果を出す戦略が求められる。[br] 小林眞市長が就任してからの14年間は、大型建設事業によって予算が肥大化。普通建設費の大幅な伸びによって、19年度当初予算は過去最高の1058億円に達した。20年度は屋内スケート場、総合保健センターの建設が落ち着いて980億円に減少したものの、依然として高水準に変わりはない。[br] 建設費だけでなく、多額の維持管理費は将来的に財政の重荷になる。市議会で野党議員から“ハコ物行政”と批判されながらも、建設を続けた。国から補助金を引き出し、市の持ち出しをいかに減らすかに腐心してきたのが“小林流”の行政運営である。[br] はっちを皮切りにブックセンター、マチニワと、中心街には公共施設が次々と建設された。昨年は中心街の近くにYSアリーナ八戸がオープン。施設の総事業費はざっと180億円に上る。[br] 矢継ぎ早に投資を進めたものの、数字は厳しい現状を突きつける。八戸商工会議所が昨年10月に実施した中心街歩行者通行量調査によると、平日と休日を合わせた2日間の通行量は、前年比3600人減の5万8千人にとどまった。[br] 施設整備が激しい落ち込みに歯止めをかけているとの見方もある。ただ、市が目標としている7万5600人に遠く及ばないことを考えると、費用対効果に見合った結果が出ていないと言わざるを得ない。[br] 新美術館は総事業費約32億円をかけ、21年夏に誕生する予定だ。中心街が抱える問題を再点検し、各施設が有する魅力の向上、商工業者や施設間の連動など、人を呼び込む仕掛けを検討すべきだ。[br] 6月に市民病院近くにオープン予定の総合保健センターは、八戸地域における総合的な医療・保健分野の拠点として、近隣町村の期待も高い。[br] 保健所や診療所に加え、認知症予防センター、こども支援センターなどの機能も併せ持つ。老若男女が暮らしやすい生活環境の一つとして、人口減少対策にも効果を発揮するだろう。[br] ただ、子育て支援などソフト事業を見れば拡充の余地がある。知恵を絞って最大限の整備効果を上げるべきなのは、中心街の施設と同様である。