時評(5月16日)

昨年12月から今年5月にかけて行われた青森県南地方の町村長選は無投票の風間浦、七戸、新郷の3町村を除き、選挙戦となった横浜、大間、東通、東北の4町村で現職の敗北が相次いだ。町村部は人口減少に伴う活力喪失など、都市部以上に閉塞感が強い。続投や.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 昨年12月から今年5月にかけて行われた青森県南地方の町村長選は無投票の風間浦、七戸、新郷の3町村を除き、選挙戦となった横浜、大間、東通、東北の4町村で現職の敗北が相次いだ。町村部は人口減少に伴う活力喪失など、都市部以上に閉塞感が強い。続投や新任の7町村長には公約を着実に進め、住民の負託に応えてほしい。[br][br] 東北町を除く3町村では多選の現職が敗れた。いずれも公約は新人と大きな差異はなく、現職による行政運営の継続か刷新かが争点になった。[br][br] 12月の横浜町長選では5期目を目指した野坂充氏(70)がこれまで通りの町政継続を掲げたのに対し、石橋勝大氏(79)は「若い人が政治に参加しやすい道筋をつくる」と変化を訴え、当選を果たした。[br][br] 野坂氏の4期16年にわたる町政運営に大きな失政はなかった。良く言えば安定、裏を返せばマンネリ化とも取れる。町民は町長を替えることで、閉塞感の打破を期待した。[br][br] 1月の大間町長選、3月の東通村長選も同様の傾向で、現職の実績より変化の可能性を選択した。同町では野﨑尚文氏(65)が5期目を狙った金澤満春氏(71)に、同村では畑中稔朗氏(58)が7期目を目指した越善靖夫氏(79)にそれぞれ勝利。両町村は2011年の東日本大震災後、立地する原発の工事や運転がストップ。疲弊する地域経済に対する不満も現職への逆風となった。[br][br] 野﨑、畑中両氏とも原発との共生を掲げ、早期の工事再開や再稼働を求めている。原子力規制委員会の劇的な審査進展は望めず、原子力絡みの税収を当て込む両町村は当面厳しい財政運営が続くとみられる。財源対策など両氏の手腕が問われる。[br][br] 4月の東北町長選は長久保耕治氏(48)が再選を目指した蛯名鉱治氏(61)を破った。同町では2005年の旧上北町と旧東北町の合併後、旧2町を地盤とする勢力に分かれ、激しい選挙戦を繰り広げることが多かった。長久保氏には選挙戦で訴えたように、町民の融和を図り、しこりを生み続ける選挙風土を変えてほしい。[br][br] 多選となっている県内のほかの首長にも注文を付けたい。多選の是非は住民が判断することだが、マンネリ化に陥っていないか自らの行政運営を振り返ってほしい。一般的に多選は独善を招き、職員の忖度、議会とのなれ合いを生みやすいとされる。初当選時の初心を忘れず、住民のための政策実現やまちづくりに努めなければならない。