時評(3月18日)

日米両政府は外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、共同文書で中国を批判し「日米同盟がインド太平洋地域の平和、安全と繁栄の礎」であると宣言した。 発足後間もないバイデン政権の重要閣僚が初めての訪問先としてそろって東京.....
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 日米両政府は外務、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、共同文書で中国を批判し「日米同盟がインド太平洋地域の平和、安全と繁栄の礎」であると宣言した。[br][br] 発足後間もないバイデン政権の重要閣僚が初めての訪問先としてそろって東京に足を運んだことで、米国が対日関係を重視する姿勢を印象付けた。米国の狙いが日米同盟を盾とした中国のけん制にあるのも確かだ。[br][br] 一方、日本と中国は長い交流の歴史を有し、一衣帯水の隣国関係にある。わが国の外交・安全保障の軸足を米国との同盟関係に置くとしても、地域の安定を図る意味からも米中双方とバランスのとれた外交を進めるべきだろう。[br][br] 共同文書は「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進を掲げ、海洋進出の度合いを強める中国をけん制。「地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」として中国を非難した。また、沖縄県の尖閣諸島周辺で活動する中国海警局の公船に武器使用を認めた海警法に「強い懸念」を表明した。[br][br] バイデン政権は経済面を含めて中国を「唯一の競争相手」とする。尖閣諸島周辺では海警局と海上保安庁の公船同士の緊張が常態化している。[br][br] 先ごろ行われた日米豪印の首脳会合も中国を強く意識した内容だった。中国サイドは一連の動きに「第三国を標的にすべきでない」と反発している。一方的に中国の封じ込めを図れば、地域の安全保障環境を一層不安定にする恐れがある。[br][br] 日米4閣僚は香港や新疆ウイグル自治区での人権抑圧に深刻な懸念を表明。中国への説得は難しいが、圧力と同時に信頼醸成に努め、対話を重ねる努力を惜しんではならないだろう。[br][br] 共同文書は日本は同盟をさらに強化するための防衛能力を向上させることを決意したとし、米国の「核を含むあらゆる種類」の力による日本の防衛への関与を掲げた。[br][br] 米国からの防衛装備品の購入増、在日米軍駐留経費の負担増などが懸念される。唯一の被爆国として核への言及は抑制的であるべきだった。国会の監視などによる透明性の確保、文民統制の徹底が求められる。軍用機の超低空飛行など依然として過重な沖縄の基地負担の軽減も交渉の余地があるはずだ。[br][br] 4閣僚は朝鮮半島情勢も重視した。半島の非核化や北朝鮮による拉致問題の解決に向けても、日米に加え韓国、中国の役割が重要だ。北東アジアでの対話の促進が強く望まれる。