【IOC総会】五輪対策議論せず難題山積 「茶番」の声も

 IOC総会に出席したバッハ会長=12日、ローザンヌ(ロイター=共同)
 IOC総会に出席したバッハ会長=12日、ローザンヌ(ロイター=共同)
国際オリンピック委員会(IOC)が12日までオンラインで開いた3日間の総会で、約100人のIOC委員から新型コロナウイルス禍の東京五輪開催を懸念する声や、バッハ会長が進める改革への異論は出なかった。圧倒的な信任票を得て「無風」で再選された同.....
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 国際オリンピック委員会(IOC)が12日までオンラインで開いた3日間の総会で、約100人のIOC委員から新型コロナウイルス禍の東京五輪開催を懸念する声や、バッハ会長が進める改革への異論は出なかった。圧倒的な信任票を得て「無風」で再選された同会長が実権を掌握している形だが、来年の北京冬季五輪を含めて難題は山積。「独裁色」を強める歩みは危うさをはらむ。[br][br] ▽露骨な演出[br] 「茶番」(東京五輪の大会関係者)は繰り返された。10日の総会初日。バッハ氏が1期目に実行した五輪改革の最終報告を終えると、約20人の委員が延々と賛辞を並べた。対抗馬がいない改選で再任されると、再び20人近い委員による1時間弱の祝福の嵐。功績をたたえる露骨な演出が目立つ一方、苦言や異論は出ず「バッハ氏1強」の雰囲気が満ちた。2期目への意欲を表明した昨夏と、まるで同じ光景だった。[br][br] 関係者によると、バッハ氏は委員に事前連絡して質問内容を指定したり、発言を仕込んだりするという。最終報告では「利害関係者がどう審判するか、知ることは重要だ」と前置きし、自らの改革が次々と称賛される約15分の映像を流した。[br][br] ▽巧みな手法[br] 巧みな手法も目を引く。今後5年の新たな五輪改革案を諮った際、反対票を投じた委員が特定されない電子投票ではなく、挙手での採決を提案。オンラインで大画面に映された全委員に「反対の者は」と聞き、続いて賛成者に挙手を促すと満場一致の結果に自ら拍手して喜んだ。[br][br] 1期目の8年は国ぐるみのロシアのドーピング問題、五輪招致疑惑、新型コロナで東京五輪の1年延期と逆風に見舞われた。国家的事業となった五輪の肥大化に伴い、歴代会長と比べても「政治」との距離の近さも際立つ。[br][br] 日本国内では今夏の五輪開催に反対意見が多く、選手や観客の入国に抵抗感が強い。4カ月後に迫る大会をなぜ開催すべきか、IOCや大会組織委員会の論理はいまだに説得力を欠く。バッハ氏が「7月の開幕を疑う理由はない」と断言するあいさつで始まった総会。最高意思決定機関で、開催の実現性や感染予防の具体策を活発に議論する場面は最後までなかった。[br](ジュネーブ共同) IOC総会に出席したバッハ会長=12日、ローザンヌ(ロイター=共同)