【東北新社認定取り消しへ】違法申請、チェック素通り

 東北新社を巡る事業認定の構図
 東北新社を巡る事業認定の構図
東北新社のBS放送事業申請は、外資の出資比率に関して別の公表資料と明らかな齟齬(そご)があるにもかかわらず、総務省のチェックを素通りして認定を受けていた。総務省は12日、放送法の外資規制に違反していたとして認定取り消し方針を表明したが、接待.....
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 東北新社のBS放送事業申請は、外資の出資比率に関して別の公表資料と明らかな齟齬(そご)があるにもかかわらず、総務省のチェックを素通りして認定を受けていた。総務省は12日、放送法の外資規制に違反していたとして認定取り消し方針を表明したが、接待漬けの果てにあったずさんな許認可行政が浮かび上がった。[br][br] ▽重大な瑕疵(かし)[br][br] 「チェックが十分でなかったと指摘があったが、そこは考えていかなければいけない」。12日朝、総務省の担当者は反省を口にした。これに先立ち記者会見した武田良太総務相は手続きに「重大な瑕疵」があったと率直に認めた。[br][br] 問題のBS放送「ザ・シネマ4K」を東北新社が申請したのは2016年10月。総務省によると、東北新社は申請書に1%以上の議決権を持つ株主と出資比率の一覧表を添付した。一覧表に出てくる外資の比率を足し算し、20%に満たないので外資規制に違反しないと申請書に記載した。[br][br] 一方、同社が定期的に公表している有価証券報告書には、3月末の外資比率がほぼ毎年のように20%以上と明記されていた。事業申請と有価証券報告書を担当する部署が異なり、齟齬に気付かなかったという。[br][br] 総務省の担当者は申請書の記入欄を見ただけで問題ないと判断して17年1月に認定。有価証券報告書は確認していなかった。[br][br] ▽接待の謎[br][br] その後も不透明な動きが続く。東北新社は「ザ・シネマ4K」の事業を17年10月、子会社の東北新社メディアサービスに移した。これに関して東北新社が同年8月時点で、外資規制に抵触することを認識していたことが12日の参院予算委員会で判明した。親会社の違法状態を脱するために子会社を利用した疑いもある。[br][br] 子会社への移管を総務省の最終責任者として決裁したのは、当時の情報流通行政局長だった山田真貴子・前内閣広報官だ。東北新社からの高額接待が発覚し、激しい批判を浴びた。総務省の調査では、少なくとも16年以降、東北新社は総務省幹部への接待を重ねており、外資規制を巡る一連の動きとの関連が焦点となる。[br][br] 菅義偉首相の長男である正剛氏が、接待要員として使われていることは衛星放送業界内で知られた話だった。「細かい部分で東北新社の要望を聞いてもらったり、同社に有利な政策を早くやってもらったりという程度のお願いはあっただろう」と推測する業界関係者もいる。過剰な飲食接待が連綿と繰り返された背景は、なお謎として残されたままだ。 東北新社を巡る事業認定の構図