時評(3月5日)

2021年度予算案が衆院通過し、参院予算委員会での審議が本格化した。衆院段階では新型コロナウイルス感染症対策に加え、総務、農林水産両省幹部が国家公務員倫理規程違反の接待を受けた問題が焦点となった。 与党は予算案の年度内成立を確定させるため、.....
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 2021年度予算案が衆院通過し、参院予算委員会での審議が本格化した。衆院段階では新型コロナウイルス感染症対策に加え、総務、農林水産両省幹部が国家公務員倫理規程違反の接待を受けた問題が焦点となった。[br][br] 与党は予算案の年度内成立を確定させるため、相次いで野党の要求する集中審議に応じたほか、慣例的に国会で答弁しない事務次官級の参考人招致も認めた。真相究明への姿勢を見せない限り、国民の理解を得られないと判断したのだろう。[br][br] 衆院通過前日には、山田真貴子前内閣広報官が体調不良を理由に辞職した。放送事業会社に勤める菅義偉首相の長男正剛氏らから総務審議官当時に7万円超の高額接待を受けた責任を取った形だが、政権の対応が後手に回った面は否めない。[br][br] 総務省は幹部11人に対し減給などの処分を行ったが、武田良太総務相は「現段階で行政がゆがめられた事実は確認されていない」と繰り返している。しかし、衛星放送の認可に対する疑念は根強く、首相への「忖度(そんたく)」の有無についても徹底した調査が求められる。[br][br] 農林水産省は、収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農相と一緒に、贈賄側の鶏卵生産大手の元代表から接待を受けたとして、枝元真徹事務次官ら6人を処分した。枝元氏は予算委で政策への働き掛けはなかったと説明したが、会食の趣旨などは判明していない。[br][br] 首都圏1都3県に発令中のコロナ緊急事態宣言について、菅首相は7日の期限を2週間程度延長する方針を表明した。「病床逼迫(ひっぱく)」を理由に挙げたが、それ以前の衆院予算委では「新規感染者が8割以上減少した」と強調し、全面解除をにおわせていただけに、唐突感は否めない。[br][br] 変異株が世界的に広がり、専門家から出されている感染再拡大の懸念を考慮したと思われる。一方で、1都3県側からの延長要請に先手を打ったとすれば、ゆがんだ判断と言わざるを得ない。[br][br] ワクチン接種では、65歳以上の高齢者に必要な数量を6月末までに全国に配送する方針を示した。しかし、自治体が不安視している配分の具体的手順などは明確になっていない。[br][br] 参院では、発生から10年を迎える東日本大震災を巡る課題も大きな論点になってきた。ただコロナ対策は東京五輪・パラリンピックも絡み、国民に安心感を与える情報提供が不可欠だろう。接待問題では事実関係や背景を解明し、政治不信の払拭(ふっしょく)を図る必要がある。