【ゴーン被告逃亡手助け逮捕】奪還請負人、波乱の半生

 マイケル・テイラー容疑者の半生
 マイケル・テイラー容疑者の半生
元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(66)のレバノン逃亡を手助けしたとして東京地検特捜部が逮捕したマイケル・テイラー容疑者(60)は、米陸軍特殊部隊グリーンベレーの経験を生かし、世界各地で拘束者奪還や隠密作戦を繰り返すプロの請負人だ。過去.....
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 元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告(66)のレバノン逃亡を手助けしたとして東京地検特捜部が逮捕したマイケル・テイラー容疑者(60)は、米陸軍特殊部隊グリーンベレーの経験を生かし、世界各地で拘束者奪還や隠密作戦を繰り返すプロの請負人だ。過去の服役時、公権力に「不当投獄だ」と憤った自身の経験から被告に共感も示していた。転落に至った波乱の半生を追った。[br][br] ▽「英雄」[br][br] 「キャプテン・アメリカ」。実現不可能としか思えない極秘任務を次々と遂行してきたテイラー容疑者。仕事ぶりを知る人からは、アメリカンコミックの超人ヒーローのあだ名で呼ばれていた。[br][br] 1960年に生まれ、軍人の家庭に育ち、78年に米軍に入隊。米メディアによると、若手候補者169人のうち3人しか合格しなかった陸軍特殊部隊の狭き門を突破。レバノンにも赴任し、アラビア語を学んだ。[br][br] 除隊後は、民間の軍事請負業者として「麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)、テロとの戦いに従事」(容疑者の弁護人)。米政府に雇われ、レバノンで携わった犯罪組織捜査では当時の史上最高額となる大量の大麻を押収する手柄を挙げたこともあった。[br][br] レバノンでの女児救出など海外で拘束された米市民を次々奪還。救出劇などを20件以上成功させ、1件当たり2万~200万ドル(約210万~2億1千万円)の報酬を得ていたという。2009年にはアフガニスタンで反政府武装勢力タリバンに拘束された米紙記者解放作戦に関与。弁護人は「単なる一市民ではなく、真の米国の英雄だ」と訴える。[br][br] ▽共感[br][br] 「俺が長年続けてきた仕事が台無しにされた」。転機は監獄生活だった。テイラー容疑者は12年に米国防総省の契約を巡り連邦捜査局(FBI)捜査員に賄賂を渡したなどとして起訴され、実刑判決を受けた。[br][br] 「やってもいない罪を認めるよう強要された」。米誌バニティ・フェアの取材に、公権力への不信感をぶちまける。「公正に扱われなかった。俺の人生を全て変えてしまった」[br][br] 日本への身柄の引き渡しは、日米間の犯罪人引渡条約に基づく。米裁判資料によると、国務省は「身柄引き渡しは国際的な義務や国内法に沿ったものと確認した」として引き渡しを承認した。[br][br] 「ゴーン氏に共感を抱くようになった」と言うテイラー容疑者。不当な扱いを受けたと訴えたゴーン被告と自身の獄中体験を重ねた。約130万ドルかかったという逃亡に加担した理由を問われ、グリーンベレーのモットーと同じ言葉を語った。「抑圧からの解放さ」(東京、ニューヨーク共同) マイケル・テイラー容疑者の半生