時評(2月6日)

バイデン米大統領が外交方針演説で「同盟関係を修復し、世界に再び関与していく」と宣言したことを支持したい。同盟国を軽視したトランプ前政権の米第一主義と決別し、国際舞台で指導力を発揮していく姿勢を改めて打ち出したからだ。 特にバイデン氏が「最も.....
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 バイデン米大統領が外交方針演説で「同盟関係を修復し、世界に再び関与していく」と宣言したことを支持したい。同盟国を軽視したトランプ前政権の米第一主義と決別し、国際舞台で指導力を発揮していく姿勢を改めて打ち出したからだ。[br][br] 特にバイデン氏が「最も侮れない競争相手」と指摘した中国との関係について、条件付きで「協力する用意がある」としたことは関係改善に前向きな姿勢を示したものとして歓迎する。[br][br] 政権が発足して2週間余り。バイデン氏は大統領令を連発して前政権の政策を否定し、政権交代を国民に強く印象付けてきた。バイデン氏の外交の基本的な方針は第一に、孤立主義に傾斜した前政権から脱却し、同盟国と連携して国際協調を重視していくことだ。温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」へ早々に復帰したのも、その決意を示したかったからだろう。[br][br] 第二に、ロシアのプーチン大統領らの独裁的手法を認めたトランプ氏とは異なり、世界の民主勢力の強化を目指すという点だ。民主主義や人権といった伝統的な米国の価値観外交への回帰とも言えよう。[br][br] バイデン氏が演説で、中国やロシアのような「専制主義」下での人権侵害を容認しない考えを示したのはこうした外交方針からだ。ロシアに対しては、拘束された反体制指導者ナワリヌイ氏の即時釈放を要求、クーデターを起こしたミャンマー国軍には「責任を取らせる」と警告した。[br][br] バイデン氏は年内に「世界民主主義サミット」開催を計画しており、中国やロシアの反発を招く恐れもある。[br][br] 新政権にとって、喫緊の外交課題は何といっても中国との関係改善だ。米中関係は前政権の「どう喝と制裁」政策により「新冷戦」というレベルにまで険悪化した。バイデン氏は演説で、人権侵害のほか中国の知的財産窃取などを厳しく批判しており、当面は貿易分野を中心に対立が続く見通しが強い。[br][br] だが「米国の国益にかなうのであれば、協力する用意がある」とも踏み込み、関係改善にシグナルを送った。今後、新型コロナウイルス対策や気候変動問題などで両国の対話が進む可能性が出てきたと言える。[br][br] 菅義偉首相はすでにバイデン氏と電話会談し、沖縄県・尖閣諸島が日米安保条約の適用対象であることなどを確認した。同氏は日本を「最も近い友人」の1人としており、菅首相がこれに応え、米中関係改善を側面支援するよう求めたい。