天鐘(2月5日)

7年前のソチ五輪。フィギュアスケート女子の注目は、浅田真央選手と韓国のキム・ヨナ選手のライバル対決。ところが期待の真央さん、ショートプログラムで転倒、出遅れてしまう▼コメントしたのが、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長である。「.....
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 7年前のソチ五輪。フィギュアスケート女子の注目は、浅田真央選手と韓国のキム・ヨナ選手のライバル対決。ところが期待の真央さん、ショートプログラムで転倒、出遅れてしまう▼コメントしたのが、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長である。「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」。落胆する選手の傷口に塩を塗るような発言だと非難された▼次のフリーへの激励ととらえる声も出た。だが、なぜあのタイミングでと、誰しもが思った。限界に挑むアスリートへの敬意を欠く言葉。当時の小欄は「組織委のトップがこれでは、先が思いやられる」と書いている▼その心配が現実になってしまった。同委への女性理事登用を巡って、「女性が入る会議は時間がかかる」などと言い放った。この男女平等のご時世に、どんな認識に基づくものなのかと考え込んでしまう▼オリ・パラの精神は「多様性と調和」を高らかにうたう。その基本理念を、ホスト国の代表たる人がご存じないわけはなかろう。本人はきのう、“蔑視発言”を取り消し、謝罪した。けれども、波紋は広がるばかりだ▼「時代遅れの言葉」は、海外でも問題視されている。折しも、東京大会はコロナで開催が揺れ動く。何とも最悪なタイミング。失言の絶えぬご仁である。多くの方は思っていよう。「この人、大事なときには必ず転ぶ」と。