【超高齢社会の先へ】第5部 未来を見つめて(2)

十和田市の駒らん情報めーるを配信する職員と行方不明者情報の画面。地域における見守りに役立てる(写真はコラージュ)
十和田市の駒らん情報めーるを配信する職員と行方不明者情報の画面。地域における見守りに役立てる(写真はコラージュ)
2025年には65歳以上の4人に1人が認知症患者になるといわれる中、認知症の人を社会全体で支える仕組みづくりが急務となっている。特に、症状の一つでもある徘徊(はいかい)による行方不明者の増加も懸念され、対策が講じられなければ高齢者の行き倒れ.....
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 2025年には65歳以上の4人に1人が認知症患者になるといわれる中、認知症の人を社会全体で支える仕組みづくりが急務となっている。特に、症状の一つでもある徘徊(はいかい)による行方不明者の増加も懸念され、対策が講じられなければ高齢者の行き倒れや事故など最悪の事態にもつながりかねない。課題の解決に向けて、十和田市では、市民に安全安心な情報を届けるメールシステム「駒らん情報めーる」で行方不明者情報を配信し、地域全体で見守る体制の構築を進めている。[br][br]   ◇    ◇[br][br] 19年4月10日、駒らん情報めーるで行方不明者情報が配信された。メールには「70代男性が散歩に出掛け、その後所在不明。重度の認知症あり」との経緯と共に、身長や体形などの身体的特徴や、身に付けていた服、最後に確認された場所などを記載。配信から数時間後には無事に発見されたことを伝える一報が届けられた。[br][br] 市高齢介護課によると、認知症の症状がある高齢者が交通事故に遭った場合、本人との意思疎通が難しく身元の特定が困難になるケースが多い。そういった事例は年々増加していることから、地域住民に広く情報提供を呼び掛ける手段として、17年8月から駒らん情報めーるによる行方不明者情報の配信を始めた。[br][br] 警察署で行方不明者の発生を確認した際、家族が同意した場合に限り市役所に連絡。連絡を受けた市が必要な情報を配信する。[br][br] 公開する情報は家族の意向を踏まえて作成されるため、事案に応じてさまざまだ。時には名前や年齢、住所など、より踏み込んだ内容を提供する。[br][br] 配信前に発見されるケースもあるが、18年度は1件、19年度が3件、本年度は3件(15日現在)の配信があった。市の担当者は「地域住民にリアルタイムで広く周知できるのが強み。1人でも多くの人に気に掛けてもらうことで早期発見につながれば」と狙いを語る。[br][br]   ◇   ◇[br][br] 駒らん情報めーるは11年3月から運用をスタートし、現在の登録者数は3502人。地震や火災などの防災情報だけでなく、献血や予防接種などの健康情報や市内のイベント情報など配信内容は多岐にわたり、地域のニーズに合わせてきめ細やかな情報を提供しているのが大きな特徴だ。[br][br] さらに、それぞれの担当課が自由に配信できるようにすることで、素早い情報発信につなげている。例えば、今年5月に市街地でクマの親子の目撃情報が相次いだ際も、駒らん情報めーるを活用して近隣住民への注意喚起に役立てたという。市の担当者は「今後も有益な情報を提供できるように運用していきたい」と強調する。[br][br] 今後は登録者数の増加に向けてさらに周知に努めていくほか、特に行方不明者情報については、郵便局や宅配業者の配達員らにも不広く登録を呼び掛けていくつもりだといい、地域における「見守りの目」を増やしていきたい考えだ。十和田市の駒らん情報めーるを配信する職員と行方不明者情報の画面。地域における見守りに役立てる(写真はコラージュ)