時評(9月8日)

新型コロナウイルスの感染拡大により1年間延期された東京五輪・パラリンピックは来年夏に開催できるのか? 世界的な感染状況が改善しない中、悲観的な声も出始めている。開催可否の判断はどんな形で、いつ下されるのか。国、東京都、大会組織委員会、国際オ.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大により1年間延期された東京五輪・パラリンピックは来年夏に開催できるのか?[br] 世界的な感染状況が改善しない中、悲観的な声も出始めている。開催可否の判断はどんな形で、いつ下されるのか。国、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)は難しい対応を迫られている。[br] 政府は五輪・パラリンピックに向けたコロナ対策調整会議をスタートさせた。感染症専門家も交えた会議では、大会を安全に運営するための具体策を固める。来夏までにコロナウイルスの完全収束が見通せないことを前提に、「コロナと共存」する大会運営構築に踏みだしたといえる。[br] 選手や役員らの出入国時の検疫体制をどう築くか。選手村や競技場での感染予防策や、感染者が出た場合の医療体制整備も必要だ。無観客でやるのか、観客数を制限するのか。膨大な人数を動員するボランティアを含めた関係者すべての健康管理を徹底できるのか。巨大規模のイベントだけに、同会議で検討するテーマは多岐にわたる。[br] 調整会議は年内に中間報告を取りまとめる方針だ。課題の設定次第では「これはできない。あれも…」と難題がいくつも出る可能性がある。この状況下では五輪開催はやっぱり無理、との結論を導き出す場になるかもしれない。[br] 感染症を一定程度、コントロールできない限り、どんな対策をとっても巨大イベントは開催できない。開催国の日本だけの問題でもない。開発が進むワクチンの普及度、有効な治療法の確立がやはり重要な開催条件になる。[br] 開催か、中止か、をいつ決めるか。中止するならより早いほうが無駄な費用を節約できる。一方、膨大な時間と費用をかけて準備してきた大会だ。五輪やパラリンピックに希望を託してきた人々の思いも無視できない。ぎりぎりまで開催の可能性を探るのも関係者の務めではある。[br] 決定期限は来年3月だといわれる。来夏への延期を決めたのがことし3月だった。4月からは組織委のスタッフも大幅に増強し本番態勢に入る寸前の決定だった。来夏の開催可否もあらゆる検討を加えたうえで、誰もが納得できる形で来年3月ごろまでに決めるのが妥当だろう。[br] 東京大会成功に格別の熱意を示していた安倍晋三首相が退陣する。延期決定時に「完全なる五輪」にこだわった安倍氏の後継首相が、五輪にどう取り組むのかも注視したい。