【超高齢社会の先へ】第3部 介護の未来(3)

ICTを活用し介護士や医師、看護師で情報を共有することで包括的な支援を実現する。コネクト8を活用する介護職員=7月中旬、八戸市 
ICTを活用し介護士や医師、看護師で情報を共有することで包括的な支援を実現する。コネクト8を活用する介護職員=7月中旬、八戸市 
介護施設の利用者は持病を抱えている場合も多い。健康な場合も、高齢であればあるほど体調の変化には特段の配慮が必要となる。利用者の体調が優れない場合、すぐに病院に連れて行けばいいのか、それとも経過観察でいいのか。いかに豊富な経験がある介護士であ.....
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 介護施設の利用者は持病を抱えている場合も多い。健康な場合も、高齢であればあるほど体調の変化には特段の配慮が必要となる。利用者の体調が優れない場合、すぐに病院に連れて行けばいいのか、それとも経過観察でいいのか。いかに豊富な経験がある介護士であっても、判断に迷うときはある。そんな介護現場の悩みを解決しようと、八戸市のNPO法人が情報通信技術(ICT)を活用した医療介護連携の取り組みを進めている。[br]    ◇   ◇[br] 医療や介護、教育など幅広い分野での多職種連携を推進する八戸市のNPO法人「Reconnect(リコネクト)」(小倉和也理事長)が2015年に立ち上げた「connect(コネクト)8」。八戸地域の医療や介護関係者が日常的に連携を取りながら協力し合うコミュニティーチームだ。20年3月現在、市内の病院や薬局、訪問看護、介護施設など239事業所が登録している。[br] 例えば、介護施設の利用者に風邪の症状があり、すぐに病院に向かうかどうかの判断に迷った場合、コネクト8に登録している医師や看護師に連絡する。写真や動画もインターネットのクラウド上で共有することで、施設にいながら適切なアドバイスを仰ぐことができる。[br] 日々の状態をデータベースに蓄積できるのも特長。利用者の病歴や服薬状況などを一目で把握できるため、スムーズな診療につなげられるという。小倉理事長は「ちょっとした体調不良にも不安になることなく落ち着いて対応できる。介護士にとっては安心感があり、質の高いケアが実現できる」とメリットを挙げる。[br]   ◇   ◇[br] 八戸市の介護サービス事業所ケア・ユニークが運営する認知症対応型共同生活介護「リビング・ホームおおくぼ」は、18年9月にコネクト8に登録した。[br] 同施設では90歳以上の入居者も多く、ちょっとしたことで病院に連れて行くには介護スタッフ、利用者のどちらも負担が大きい。判断に困ったときは、登録している医療機関に連絡して医師や看護師からアドバイスを受ける。状況によっては、往診に来てもらうこともある。[br] 事務主任の白戸雄太さんは「医療的な判断をしてもらえるのは安心」と実感。同施設の介護福祉士の女性も「病院を受診するときは事前にシステムのデータを見てもらう。受診時間が短くて済み、入居者の負担も軽減されている」と話す。[br] ただ、登録事業者数がまだ限定的。特に医療機関が少なく、いかに登録数を増やしていくかが課題となっている。加えて、施設では利用者の食事や体温などの記録も毎日作成しなければならず、コネクト8のシステムへの入力作業と重複しているという現状がある。[br] 同施設の介護スタッフは「記録する情報には両方に共通する部分もあるため、どちらかに入力したものが反映されるような仕組みになると助かるのだが」と使い勝手の向上を求める。ICTを活用し介護士や医師、看護師で情報を共有することで包括的な支援を実現する。コネクト8を活用する介護職員=7月中旬、八戸市