焦点は「横浜断層」に/東通原発審査申請から6年

審査申請から6年が経過する東北電力東通原発=2017年10月、東通村
審査申請から6年が経過する東北電力東通原発=2017年10月、東通村
東北電力が運転停止中の東通原発(東通村)の新規制基準適合性審査を申請してから、間もなく6年を迎える。地震関係の審査は一定の進展が見られ、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を決める上で、最も影響があるとされる活断層「横浜断層」の評価.....
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 東北電力が運転停止中の東通原発(東通村)の新規制基準適合性審査を申請してから、間もなく6年を迎える。地震関係の審査は一定の進展が見られ、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を決める上で、最も影響があるとされる活断層「横浜断層」の評価に焦点が移りつつある。だが、基準津波(想定される最大規模の津波)などの議論は残されたままで、再稼働の前提となる安全対策工事の完了は、目標の「2021年度内」からずれ込む公算が大きい。[br] 現時点で600ガルと評価する地震動の確定に向け、東北電は敷地近くにある断層の活動性を否定する主張を続けている。敷地近くに新たな活断層が確認されれば、より大きい地震動に設定し直す必要性が出てくるからだ。[br] 14年6月10日の審査申請以降、敷地近くの断層の議論に大半の時間を費やしてきた。このうち、再稼働の是非に直結する重要施設直下の断層では、取水設備の新設といった対応を経て、活動性を否定する東北電の主張が了承されている。[br] ただ、敷地の一部に延びる「一切山東方断層」を巡り、東北電は同断層の評価を敷地内にある別の断層に応用できると主張したが、原子力規制委員会はデータ不足を指摘。結局、東北電はデータ拡充のため、昨年3月末から7カ月間の追加地質調査の実施を余儀なくされた。[br] 東北電は、19年中に地震や津波に関する説明を一通り終えるとの目標を掲げたが果たせなかった。「(審査の)進捗(しんちょく)が顕著にはならなかった」(齋藤光春・前青森支店長)のが実情だ。 一方、光明も見えてきている。今年3月の審査会合で規制委は説明の充実を要求しつつ、「(東北電の)資料を見る限り、地震動で評価しなくてはいけないような一級の断層はない」と敷地近くの断層の評価に注文を付けなかった。[br] 加えて、規制委が求めた「震源断層に関するフルパッケージの資料」が提示される次回以降の会合では、地震動を決める上で東北電が中心に位置付ける横浜断層も論点になる見通し。[br] 敷地外の陸地を陸奥湾沿いに南北に走る横浜断層で、東北電が想定する長さ(約15・4キロ)などが了承されれば、地震動の議論は大きく前進することとなる。[br] このほか検討するプレート間地震と海洋プレート内地震では、審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)に対する日本原燃の評価を転用できるため、さほど議論に時間はかからない見込みだ。[br] 規制委関係者は「女川原発(宮城県)の審査も終わったし、東北電は東通原発に注力してくるだろう」と見るが、地震動と共に審査のヤマ場とされる基準津波のほか、施設の安全性に関する審査もある。[br] 対策工事完了までの残り時間は1年10カ月と少なく、早期の再稼働へのハードルは高い。審査申請から6年が経過する東北電力東通原発=2017年10月、東通村