時評(5月30日)

間もなく株主総会のシーズンだが、今年は新型コロナウイルスの感染防止対策のために会場のスペースを縮小するところが多くなり、同時にインターネットを活用して総会を行う企業が増えそうだ。 株主はネットを使えば自宅や外出先から参加が可能で、上場会社は.....
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 間もなく株主総会のシーズンだが、今年は新型コロナウイルスの感染防止対策のために会場のスペースを縮小するところが多くなり、同時にインターネットを活用して総会を行う企業が増えそうだ。[br] 株主はネットを使えば自宅や外出先から参加が可能で、上場会社は総会のため大量の紙の資料作りをしなくてよくなり、会場設定の費用を節約できるなど利点がある。[br] 会社側の説明だけでなく、1年に1度の機会なので株主からの質問に積極的に答え、経営方針について活発な議論を行うべきだ。できるなら十分な時間を確保して、幅広い視点からの対話をするのが望ましい。[br] 課題はパソコンなどの操作が苦手な高齢の株主に対して、いかに気軽に参加できる機会を提供するかだ。総会終了後には確認のため、決議事項は株主に対して書類で送付するなど丁寧な対応が求められる。[br] 経済産業省は4月に感染を防ぐための株主総会の運営についてガイドラインを発表した。それによると、防止策の一環として株主に来場を控える入場制限を呼び掛け、株主の来場がない場合でも総会を認めるとしている。その際には事前に書面やネットを使って議決権行使を認めるなどして、決議の成立に必要な要件を満たすことができる。[br] 会場とネットで同時に株主総会をするのは、今年初めてのケースが多いと思われるが、議事進行が円滑に行くようであれば、来年以降もネット総会を継続すべきで、経営陣と株主との間の新しいスタイルの意思疎通の場となってほしい。[br] 5月22日に株主総会を開催した流通大手のイオンは、多数の株主が出席すると集団感染のリスクがあるため、千葉市にある本社ビル内に設けた総会会場での開催と並行して、総会の模様をネットでライブ中継した。[br] 例年は2千人近くの株主が来場するが、今年は約80人の株主が会場に出席、そのほかに2500人の株主がネットで視聴した。事前にネット参加者から質問を受け付けて会場で答える形を取り、1時間半ほどで総会は終了した。[br] ネット方式を何回か行い、株主総会の運営が定着すれば、株主に限らず従業員や取引先などとの話し合いや交渉をする際の有効な対話手段にもなり得る。[br] 対面でのコミュニケーションはもちろん重要だが、デジタル時代のいまだからこそ、若い世代に好まれるこうした方法を試してみる価値があるのではないだろうか。