天鐘(2月20日)

「やじる」「やじを飛ばす」の「やじ」は、「野次馬」を略したもの。自分と関係ないところで口出しし、傍観者の立場で面白半分に無責任に騒ぎ立てることを指す。『暮らしのことば語源辞典』(講談社)から引く▼議場や舞台、競技場などで“外野席”から飛ぶ冷.....
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 「やじる」「やじを飛ばす」の「やじ」は、「野次馬」を略したもの。自分と関係ないところで口出しし、傍観者の立場で面白半分に無責任に騒ぎ立てることを指す。『暮らしのことば語源辞典』(講談社)から引く▼議場や舞台、競技場などで“外野席”から飛ぶ冷やかし、あざけりには遠慮がない。プロ野球のある外野手がよく言っていた。守備エラーでもするものなら、「(外野)スタンドからのやじがきつくてきつくて」。毎回耐えるしかなかったという▼傍観者だからなせる行為。ところが、当事者席に座りながらやじを飛ばす人物がいるのに驚いた。しかも責任ある一国のリーダーとは。国会で安倍晋三首相が野党議員に浴びせた「意味のない質問だ」には耳を疑った▼「桜を見る会」などの問題を巡るやり取り。よほど苛(いら)立ったのだろう。「タイは頭から腐る」。野党議員が政権批判に使った言葉もなかなか辛辣(しんらつ)だったが、いちいち腹を立てていては、堪忍袋が持たない▼江戸幕府の礎を築いた徳川家康の言葉がある。「堪忍の袋は常に首にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え」。破れそうになったら、ぐっとこらえて縫うのが上に立つ者だと▼政治家の失言、やじ。小欄も毎度反応するのは紙幅に限りがあると思いつつ、触れざるを得ない。こらえ力を失いつつある長期政権の緩みと傲慢(ごうまん)さが危機対応に及んだら、取り返しがつかない。