原発処理水を海洋放出へ 政府、13日にも閣僚会議

 東京電力福島第1原発の敷地内に林立する、処理水などを保管するタンク(手前)=1月(共同通信社ヘリから)
 東京電力福島第1原発の敷地内に林立する、処理水などを保管するタンク(手前)=1月(共同通信社ヘリから)
東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後の処理水の処分に関し、政府が海洋放出の方針を固めたことが分かった。13日にも関係閣僚会議を開いて正式決定する。関係者が9日明らかにした。 決定すれば2013年から続く処理水の扱いを巡る議論の大きな節目.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後の処理水の処分に関し、政府が海洋放出の方針を固めたことが分かった。13日にも関係閣僚会議を開いて正式決定する。関係者が9日明らかにした。[br][br] 決定すれば2013年から続く処理水の扱いを巡る議論の大きな節目となる。しかし、原発事故に加え二重の風評被害が出るとして地元や漁業者の懸念は大きい。全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「海洋放出は絶対反対」としており、放出には風評対策や補償制度の具体化が課題になる。[br][br] 梶山弘志経済産業相は9日の閣議後の記者会見で国際原子力機関(IAEA)との連携に触れ「仮に処理水を処分する場合、安全性を客観的に厳しく確認し、国内外に発信してもらうことを確約した。風評抑制にもつながる」と期待を込めた。[br][br] 放出開始には工事や審査で2年程度の準備期間がかかる見込み。処理水には技術的に除去できない放射性物質トリチウムが含まれており、十分に希釈してから海に流す。 東電は風評被害が出れば賠償を検討する方向で、額が膨らめば経営に痛手となる可能性もある。[br][br] 当初は昨年10月に方針決定の動きがあったが漁業者らへの配慮から先送りしていた。[br][br] 菅義偉首相が7日、全漁連の岸宏会長と会談し、方針決定に向けた意向を伝えた。岸会長は改めて反対を表明した。[br][br] 第1原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や流入する地下水などで現在も汚染水、処理水が増え続けている。東電によると、今年3月時点で処理水は125万トンに上り、処理途中の水も含め敷地内で1061基のタンクに保管。東電はタンク容量が来年秋以降に満杯になるとみている。[br][br] 海洋放出を巡っては、全漁連は昨年6月の通常総会で「断固反対」とする特別決議を全会一致で採択。政府に慎重判断を求める要請書を出すなどして、放出の影響について「風評被害の発生は必至」と訴えた。 東京電力福島第1原発の敷地内に林立する、処理水などを保管するタンク(手前)=1月(共同通信社ヘリから)