【介護保険6千円超え】上昇傾向、歯止めかからず コロナで据え置くケースも

 介護保険料増減の主な理由
 介護保険料増減の主な理由
65歳以上が支払う介護保険料の全国平均が初めて月額6千円を超えた。今回は新型コロナウイルス感染拡大で影響を受ける高齢者の負担に配慮して据え置きや減額としたケースも。ただ、介護が必要な人は増え続け、保険料の上昇傾向に歯止めはかかりそうもない。.....
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 65歳以上が支払う介護保険料の全国平均が初めて月額6千円を超えた。今回は新型コロナウイルス感染拡大で影響を受ける高齢者の負担に配慮して据え置きや減額としたケースも。ただ、介護が必要な人は増え続け、保険料の上昇傾向に歯止めはかかりそうもない。専門家は持続可能な制度への見直しを求める。[br][br] ▽高齢化率50%超[br] 全国の「市」の中で2番目に保険料が高かった北海道夕張市。4月からは約1640円の大幅増の月7875円に。要介護認定を受ける高齢者は4人に1人で、担当者は「介護を必要とする人の割合は増えており、1人当たりの保険料の引き上げが必要だった」と話す。[br][br] 若い世代は市外に流出し、高齢化率は全国上位の50%超。空き家が目立ち、「介護予防や、地域のコミュニティーづくりを草の根から進めないといけない」と危機感を抱く。[br][br] 一方、埼玉県鳩山町は2期連続で引き下げた。月3800円は全国4位の低さだ。担当者によると、高齢化率は約45%と高水準。約10年前から研究機関などとタッグを組んで介護予防策を強化し、高齢者に対する要介護認定率が抑えられていることが一因とみる。[br][br] だがコロナ禍で高齢者らの交流の場が減り、認定率は上昇傾向に。担当者は「低額の状況が続くとは思えず楽観視できない」と語気を強める。[br][br] ▽5千円が限界[br] 介護保険料は制度が始まった2000年度は全国平均月2911円だった。関係者間では「月5千円が負担の限界」とされたが、現在は約9割の自治体、広域連合で5千円を超えた。[br][br] 25年には団塊世代全員が75歳以上となり介護需要が急増する。自治体は必要なサービス確保と、保険料の負担軽減に頭を悩ませる。[br][br] ただ、今回はコロナ禍を受けて、高齢者の負担に配慮するケースも。長野市は19年の台風被害とコロナの影響を考慮し、月5670円に据え置いた。これまでの保険料の余りを積み立てた基金を財源に充てる。担当者は「仕事をしている高齢者で収入が減った人もいる」と説明する。[br][br] 東京都世田谷区はコロナ禍を踏まえ、月270円引き下げ、月6180円とした。長野市と同様に基金を活用する。[br][br] しかし、基金の取り崩しで一時的にしのげても、高齢化の進行は止まらず、全国的な保険料上昇は続く見通し。コロナ禍の長期化も予想される。 ニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員は「これ以上の負担増に対応できない高齢者は多い」と指摘。制度維持には「給付減や利用者負担増、保険料を払う年齢拡大など選択肢がある。政治の責任で国民が議論できるような素材を示すべきだ」と話す。 介護保険料増減の主な理由