【コロナ感染拡大】地方の「医療崩壊」現実味 医療従事者不足の札幌、市外に患者搬送も

 札幌市の繁華街をマスク姿で歩く人たち=13日午後
 札幌市の繁華街をマスク姿で歩く人たち=13日午後
新型コロナウイルスの感染拡大が各地で顕著になっている。「まん延防止等重点措置」が適用されている北海道で、13日に発表された新規感染者数は過去最多の712人に上った。知事や専門家は緊急事態宣言への移行を求めたものの、政府は見送る方針。岡山など.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大が各地で顕著になっている。「まん延防止等重点措置」が適用されている北海道で、13日に発表された新規感染者数は過去最多の712人に上った。知事や専門家は緊急事態宣言への移行を求めたものの、政府は見送る方針。岡山など5県を重点措置の対象に追加することで収束への道筋をつけたい考えだが、効果が出なければ地方での「医療崩壊」が現実味を帯びる。[br][br] ▽危機感[br] 「市民の命や健康を脅かすリスクが極めて高い。今すぐ緊急事態宣言を発令すべき状況だ」。札幌市の秋元克広市長は、市庁舎で開かれた対策本部会議で危機感をあらわにした。[br][br] コロナ患者に使える札幌市内の約400病床は7日からほぼ満杯。医療従事者も十分確保できず、近隣の自治体に患者を搬送するケースも出ている。鈴木直道知事は13日の道議会で「病床の逼迫(ひっぱく)度も各地で非常に厳しい状況になりつつある」と訴えた。[br][br] 感染急増の一因として、ゴールデンウイーク(GW)中の人出が指摘される。JR北海道によると、GWの札幌駅の乗降人員は約64万人で、宣言発令中だった昨年と比べ約2・8倍。新千歳空港駅は5倍近くだった。JRの担当者は「道外からの客も増えた」と話す。[br][br] 岡山県は政府の対策分科会が示す病床使用率などの指標全てがステージ4(爆発的感染拡大)に達し、12日に重点措置の適用を政府に要請した。岡山市で11日までの1週間に発表された新規感染者数は人口10万人当たり83・37人で、大阪府を超えている。病床使用率も7割に達し、県幹部は「感染の疑いがあっても、よほど症状が悪くなければ入院は難しい」と漏らした。[br][br] ▽混 在[br] 厚生労働省へ助言する専門家組織は12日に会合を開催。全国の新規感染者は急激な増加が収まり横ばい傾向だが、急増している地域と減少している地域が混在していると評価した。出席者によると、北海道に最も強い懸念が示され、岡山や広島の状況を不安視する声が出た。[br][br] 専門家組織のメンバーで、日本医師会の釜萢敏常任理事は12日の会合後、報道陣に「重点措置をやって時間がたてば、事態は深刻になってしまうことがある。北海道は宣言に切り替えるべきだろう」と語った。だが政府は発令に踏み切らなかった。[br][br] ▽限 定[br] 鈴木直道知事は13日、これまで都道府県単位で出されていた宣言を札幌市に限定して出すよう政府に求めた。こうした事情も踏まえ、政府は市町村単位で集中的な対策を講じる重点措置のままで対応できると判断した可能性がある。[br][br] 感染力が強い変異株への置き換わりが全国的に進み、宣言や重点措置の対象外の地域でも感染が急拡大している。さらにGWのスタートから2週間経過し、観光客などの人の流れは今後の感染状況にも反映されるとみられる。連休で検査が減った影響もあり、政府の対策に効果があったのかどうかは現段階で判断できない。[br][br] 釜萢氏は「従来は若者から高齢者に感染が広がり重症者が増えていたが、変異株の影響で早い段階から重症者が出ている。インドで流行している変異株が広がれば、これまでの対策だけでは医療体制がさらに逼迫する事態を覚悟しないといけない」と警鐘を鳴らした。 札幌市の繁華街をマスク姿で歩く人たち=13日午後