【盛岡の動物公園が安楽死公表】動物の「生と死」見つめてほしい 短期間に多くの賛否

 盛岡市動物公園の安楽死情報公表の流れ
 盛岡市動物公園の安楽死情報公表の流れ
展示動物の安楽死、どう考えますか―。盛岡市動物公園ZOOMO(ズーモ)が、感染症を発症し完治が見込めないカイウサギ全15匹を安楽死させ公式ホームページ(HP)で公表、賛否の議論が起きた。安楽死は苦痛やストレスを与えない飼育法「動物福祉」を踏.....
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 展示動物の安楽死、どう考えますか―。盛岡市動物公園ZOOMO(ズーモ)が、感染症を発症し完治が見込めないカイウサギ全15匹を安楽死させ公式ホームページ(HP)で公表、賛否の議論が起きた。安楽死は苦痛やストレスを与えない飼育法「動物福祉」を踏まえ昨年春から始め、園長は飼育・展示される動物の「生と死」を見つめてほしいと公表を続ける方針だ。[br][br] 園によると、2019年5月ごろから数匹にくしゃみや鼻汁などの症状が見られ、慢性鼻炎を引き起こす「パスツレラ感染症」が疑われた。死に至ることはないが、まん延すると広がりを抑えるのが難しい。[br][br] 抗生剤を投与し、症状のある個体を隔離したが、昨年に全15匹にまん延。園ではニホンツキノワグマやピューマなど約70種350匹を飼育しており他の動物に感染拡大したり、来園者を介してペットのウサギにうつったりする恐れがあった。[br][br] 軽症の個体を1匹ずつ隔離することも検討されたが、衛生・健康面で十分な飼育スペースの確保が難しいと判断。「治療を施しても回復が見込めない」「生きる質が低下したまま」―など園の安楽死基準を満たすとして昨年12月、15匹に麻酔をかけ薬剤投与した。[br][br] 今年3月23日、HPで公表すると、メールやツイッターなどを通し賛否の意見が約1週間で約200件寄せられた。「動物の命を何だと思っているのか」といった批判が目立つ一方、「飼育員も難しい判断をした」と理解を示す声も。電話での批判には個別対応したり、HPに説明文を掲載したりして理解を求めた。[br][br] 安楽死は他の施設でも行われているが、なぜ積極公表に踏み切ったのか。23年春のリニューアルオープンに向け公園の在り方や動物との真剣な向き合い方を職員間で検討する中で「命の誕生」といった明るい話題だけでなく、動物の「死」も全て情報発信することにした。[br][br] 辻本恒徳園長は「動物の最期を考えてもらうことが飼育する側の責任で、究極の使命だ」と話す。昨年春ごろからHPなどで公表し始め、同時期に安楽死も導入した。[br][br] 日本動物園水族館協会によると、日本社会では欧州に比べ、動物の安楽死に否定的な見方が強い。北海道旭川市の旭山動物園は04年から「喪中看板」を設け、安楽死も含め死因を知らせる。来園者が見たいところだけ見せるのではなく、命を考えてもらうのが狙いだ。[br][br] 盛岡市動物公園に寄せられた批判について、旭山動物園の坂東元園長は病気による苦痛のほか、治療がストレスになることがあると指摘。「生きる質」に影響すれば安楽死を選ぶ場合があるとし、園側に理解を示す。[br][br] 坂東園長は「動物園自体が人の手でつくられており、ここで動物がどういう最期を迎えるか、しっかりと考えることが大切だ」と話す。 盛岡市動物公園の安楽死情報公表の流れ