【「情報1」必修化】公立高担当教員5人に1人免許なし

 情報教育を巡る経過
 情報教育を巡る経過
2022年度からの高校の新学習指導要領でプログラミングを学ぶ「情報1」が必修となるのに合わせ、25年の大学入学共通テストから「情報」が出題される。関係者の取り組みが実を結んだ形だが、情報の導入から20年近くになる今も、公立高担当教員の5人に.....
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 2022年度からの高校の新学習指導要領でプログラミングを学ぶ「情報1」が必修となるのに合わせ、25年の大学入学共通テストから「情報」が出題される。関係者の取り組みが実を結んだ形だが、情報の導入から20年近くになる今も、公立高担当教員の5人に1人ほどが正規の専門免許を持たない。学習内容の高度化に対応し、良い授業をできるか。高校の情報教育は正念場を迎える。[br][br] ▽11校[br] 「教員も生徒も姿勢が変わる」。長年、情報の教科書作りに携わる編集者は共通テストでの出題を喜んだ。過去には別教科の時間に充てられた未履修が発覚するなど、「どうしても軽んじられてきた」と語る。[br][br] 大手予備校、河合塾教育研究開発部の小松原潤子さんによると、今春入学者の大学の一般入試で「情報」を出題したのは、高知大や慶応大など11校。東京農工大や愛知教育大、明治大なども採用した時期があったが撤退した。[br][br] デジタル社会の進展でその重要性は一段と増す。小松原さんは「これからデータ活用が一層重視される。経済学部など文系でも広がるかもしれない」と期待する。[br][br] ▽免許外[br] 現行指導要領でも「情報」は必修だが、プログラミングをしない科目が選択可能。来春の新1年生からはプログラミングやデータ分析をしっかり学ぶ「情報1」を必ず履修することになるが、全国の高校で対応できるかは心もとない状況だ。[br][br] 昨年5月時点で文部科学省が都道府県と政令指定都市の教育委員会に聞いたところ、情報を教える高校教員計5072人のうち、情報の免許(10年の特別免許を含む)を持つのは3862人。残りは原則3年の臨時免許保持者(256人)と、免許を持たない教員が特例で教える「免許外教科担任」(954人)で、大学などで専門知識や指導法を十分に学んでいない可能性がある。[br][br] 地域による格差も大きく、東京都や埼玉、神奈川両県などでは担当教員全員が情報の免許を持つ一方、長野、栃木、新潟の各県では100人以上が免許外・臨時免許で教えていた。[br][br] 情報の必修単位は1年間に週2コマ程度を学ぶ2単位。今も情報の教員採用に消極的な自治体があり、文科省の担当者は「国語や数学などと違い、小規模校では専門教員を配置しづらいのかもしれない」と説明する。[br][br] ▽転機[br] 愛知県立小牧高で情報を教える井手広康教諭(35)は共通テストへの採用に「やっと情報が世間から認められたことは評価したいが、現場では時期尚早との声もある」と話す。免許を持っていても力量にはばらつきがあり「情報1を教えられる自信がない。担当を外れたい」と漏らした仲間もいる。[br][br] 03年度に情報が初めて必修化された際、数学や理科、家庭、商業などの教員に、15日間の講習受講を条件に情報の免許が与えられた。周囲には免許があってもプログラミングなどに苦手意識を持つ教員、他教科との兼任、非常勤も多い。[br][br] 現状のままでは「新指導要領に即して教え、入試対策までできる教員がどれほどいるのか」と危ぶみつつ「共通テスト採用を情報教育全体が変わるきっかけにしなければいけない」と強調した。 情報教育を巡る経過