無情の幕切れ 184球目、悪夢の暴投

4季連続甲子園の夢を乗せたボールが、キャッチャーミットを外れ、こぼれていった。 1―1で迎えた延長十二回、光星の絶対的エース中川優が投じた184球目。2ボール2ストライクから、中川が「三振を狙った」というチェンジアップは、捕手馬場龍星の前で.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 4季連続甲子園の夢を乗せたボールが、キャッチャーミットを外れ、こぼれていった。  1―1で迎えた延長十二回、光星の絶対的エース中川優が投じた184球目。2ボール2ストライクから、中川が「三振を狙った」というチェンジアップは、捕手馬場龍星の前でバウンド。打者のバットは空を切ったが、ボールは捕手の後方に。必死に追い掛ける馬場。ベースカバーに入る中川。三走が本塁へ滑り込み、球審が「セーフ」を告げると、三沢商ナインが次々と飛び出して来た。中川は本塁上に倒れ込み動けなかった。大歓声が響くバックネットのそばで、馬場はおえつを漏らした。  打線が湿り、なかなか援護のない中で、中川らしく粘り強さを存分に発揮した。延長に入り、「あの展開で中川を代えられなかった」と仲井宗基監督。満身創痍(そうい)の中川は右足、脇腹、体のあちこちがつっていた。「あとは気持ち。どんな状態でも、エースは抑えなければいけない」。体は既に限界を迎えていた。スライダーもカットボールも思った所に投げられなくなっていた。  十二回、2死三塁でマウンドに内野陣が集まった。  「絶対抑えよう。甲子園に行こう」  しかし、あっけない幕切れで、甲子園の道は断たれた。  中川と馬場は昨年からのバッテリー。試合後、中川は「馬場とは3回も甲子園経験できた。最高のキャッチャー。感謝しています」。  タオルで顔を覆ったままの馬場は、ミットに収めきれなかった最後の一球について、言葉を振り絞り、言い切った。  「いいボールでした」 [right]2015年夏季県大会・決勝 八学光星 VS 三沢商[/right]