【超高齢社会の先へ】第4部 社会からの孤立(4)

身寄りのない人の保証人として、きめ細やかな支援を行う日本サンライフ終身身元保証協会。相談内容は千差万別だ=八戸市(提供写真)
身寄りのない人の保証人として、きめ細やかな支援を行う日本サンライフ終身身元保証協会。相談内容は千差万別だ=八戸市(提供写真)
家族がいなかったり、疎遠だったりして身寄りがない高齢者の場合、連帯保証人の確保や緊急連絡先の把握が困難なために、アパートなどの賃貸契約や施設入所を断られるケースが全国的に増えている。要因には、高齢者の単身世帯の増加に対し、社会的な支援や制度.....
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 家族がいなかったり、疎遠だったりして身寄りがない高齢者の場合、連帯保証人の確保や緊急連絡先の把握が困難なために、アパートなどの賃貸契約や施設入所を断られるケースが全国的に増えている。要因には、高齢者の単身世帯の増加に対し、社会的な支援や制度が追いついていない現状が挙げられる。身寄りのない人の身元保証を引き受ける八戸市の「日本サンライフ終身身元保証協会」(田中圭理事長)の取り組みから現状を掘り下げる。[br][br]   ◇    ◇[br] 身寄りのない高齢者との賃貸契約では、家賃滞納や孤独死などのリスクは避けられない。貸主は「いざという時の担保はどうするのか」「貸した物件に何かあったときの責任は誰が取るのか」などの不安を常に抱えることになるため、なかなか契約に踏み切れないのが現状だ。[br][br] 認知症の進行も想定されるため、例えば賃貸契約や施設入所後に契約内容の確認が必要になったとしても本人との意思疎通ができずに、「覚えてない」「聞いていない」などと後々のトラブルに発展しかねない。田中理事長は「貸主や施設側は連帯保証人がいないから受け入れを拒むのではなく、後々の契約トラブルのリスクが高まることを懸念している」と強調する。[br][br] 賃貸や施設利用で万が一、契約上のトラブルになったときに行政の介入は難しく、施設側や貸主もいざという時の責任は取れない。田中理事長は、この“はざま”にある問題を解決しようと、2013年に同協会を設立。今年5月には住宅の確保が困難な高齢者に対し、身元保証人として賃貸住宅への円滑な入居を支援する「住宅確保要配慮者居住支援法人」として県の指定を受けている。[br][br]   ◇    ◇[br] 同協会には「家族がいない」「家族に迷惑を掛けたくない」などの理由から、本人が直接依頼してくるケースもあれば、離れて暮らす家族から依頼が舞い込んでくることもある。[br][br] 依頼人が抱える問題はさまざまで、一つとして同じ事例はない。心疾患や糖尿病に加え認知症の症状がある70代女性の場合は、頼れる親戚がいなくアパートに入居できずにいたため同協会が物件探しや契約、ライフラインの手続きを支援。病気の後遺症で障害を抱えながら一人暮らしをする60代女性の場合は、同協会が身元保証人となって施設入居をサポートしたほか、住居退去や家財などの処分の手続きを代行した。[br][br] 入居支援だけでなく、相続や成年後見制度など法務に関わる相談や、行政の関係機関と連絡調整をして必要な支援に結びつけるなど、一体的かつスピーディーな対応を実現できるのも同協会の強みだ。[br][br]   ◇    ◇[br] 同協会のように高齢者の身元保証を行う民間団体は全国的にもまだ少なく、支援の手が行き届いてないのが現状だという。田中理事長は「公的支援ではカバーしきれないきめ細やかな部分の支援ができるのが民間ならでは。誰にも頼れずに不安を抱えている人たちの相談窓口として活用してほしい」と力を込める。[br][br] ※「日本サンライフ終身身元保証協会」への問い合わせは=フリーダイヤル(0120)116561=へ。身寄りのない人の保証人として、きめ細やかな支援を行う日本サンライフ終身身元保証協会。相談内容は千差万別だ=八戸市(提供写真)