時評(10月14日)

普及が遅れていた電気自動車(EV)の新型車の発売が来年にかけて相次ぎ、自動車市場で認められる存在になる可能性が出てきている。 日本ではホンダが10月末に新型の「Honda e(ホンダ イー)」を発売する。初めての量産モデルで、充電走行距離は.....
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 普及が遅れていた電気自動車(EV)の新型車の発売が来年にかけて相次ぎ、自動車市場で認められる存在になる可能性が出てきている。[br] 日本ではホンダが10月末に新型の「Honda e(ホンダ イー)」を発売する。初めての量産モデルで、充電走行距離は283キロと短めだが、充電が速いのが特徴。価格は標準タイプで451万円と高めで一般的利用者には手が届きにくい。[br] 日産自動車も2021年度半ばにEVの多目的スポーツ車(SUV)「アリア」を発売するが、価格は500万円を超え購入者は限られる。[br] そうした中で、EV専業の米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は9月、3年後をめどに2万5千ドル(約260万円)の新車を出すと発言し反響を呼んだ。詳しい性能は分からないが、日本のEVと比べてかなり低価格で、大量供給されれば市場にブレークスルーを起こすかもしれない。[br] テスラは第3四半期(7~9月)に13万9千300台と前年同期比44%増に当たる過去最高のEV販売を記録し、コロナ禍にもかかわらず世界で断トツの伸びを示した。今年の販売台数は前年比30~40%増になる見通しを示し、年50万台達成が視野に入ってきている。数年前までは量産段階で生産トラブルが起きていたが、それを克服して世界一のEVメーカーとなった。[br] 中国市場で販売シェア首位のドイツのフォルクスワーゲン(VW)は9月、新型EVを25年に世界で50万台生産すると発表。同年には販売全体の2割をEVにする計画だ。[br] しかし日本からは、テスラの低価格車に対抗できるEVは現時点では登場してきそうにない。可能性があるのが、日産と三菱自動車が23年度に出す計画の軽自動車タイプのEVだ。トヨタ自動車は、本年度内に2人乗りの超小型EVを出す予定だが、この車は用途が限られる。来年には高級ブランド「レクサス」のEVを出す計画だが、価格は高くなりそうだ。[br] フランスは40年にはガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する計画。英国は今年2月、35年までに同様の禁止をする計画を明らかにした。米カリフォルニア州も9月、35年以降にはガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると発表している。[br] このように世界市場で化石燃料を使った自動車の販売を制限する動きが強まる中、日本メーカーは欧米に後れを取らないよう、手の届く価格帯のEVの発売が望まれる。