天鐘(10月8日)

先日、八甲田へ車を向けた。グイグイと坂道を上る。少し開けた窓から冷気が増していくのを感じる。傘松峠や睡蓮沼は思ったよりも色づいていた。山嶺(さんれい)に黄や赤がふわり。燃えるような錦秋が近づいている▼木々に冷たい雫が宿る頃だという。紅葉のは.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 先日、八甲田へ車を向けた。グイグイと坂道を上る。少し開けた窓から冷気が増していくのを感じる。傘松峠や睡蓮沼は思ったよりも色づいていた。山嶺(さんれい)に黄や赤がふわり。燃えるような錦秋が近づいている▼木々に冷たい雫が宿る頃だという。紅葉のはしりを目にしてから迎えた「寒露」だけに季節の移ろいを実感する。秋の二十四節気で残るは「霜降」のみ。1カ月もすれば「立冬」だ。早くも冬がやって来る▼「暦の上では…」との言い回しがある。折節と気候のずれに戸惑うことは少なくない。例えば「立秋」は夏の盛りで猛暑日もしばしば。「今日からは(・・・)立秋」と向こう半月の変動傾向と解釈すれば、何とか腑(ふ)に落ちてくる▼珍しく違和感のない節気である。例年以上に身に染みる朝晩の冷え込みが理由かと思いきや、八戸で調べると10月1~5日の平均気温はほぼ平年並み。1カ月前までの猛烈な残暑で体が錯覚しているようだ▼半旬のデータをさかのぼってみる。今年は軒並み平年を上回っており、5月の初めと9月の初めは5度以上も高かった。春が短く夏が長い。地球温暖化の危機が叫ばれて久しい。四季の狂いは暦のせいでない▼過ごしやすく、気持ちも穏やかになる秋である。徐々に里へ下りてくる紅葉はもちろん、豊かに実った自然の恵み、芸術やスポーツも。満喫したいことがたくさんある。足早に去るのは勘弁願いたい。