「負けない。」夢に現れた地蔵、商品化後押し 萬榮堂が新商品「幸せの地蔵まんじゅう」10日発売

萬榮堂の3代目を担う松田智司さんと「幸せを呼ぶまんじゅう地蔵」=1日、八戸市八幡
萬榮堂の3代目を担う松田智司さんと「幸せを呼ぶまんじゅう地蔵」=1日、八戸市八幡
世の中が大変な今だからこそ、心を和ます“幸せのまんじゅう”を―。八戸市の櫛引八幡宮前にある和菓子店「元祖鶴子まんじゅう萬榮堂」が、新商品「幸せの地蔵まんじゅう」を10日に発売する。1世紀続く老舗にも新型コロナウイルス禍の逆風が吹き、3代目代.....
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 世の中が大変な今だからこそ、心を和ます“幸せのまんじゅう”を―。八戸市の櫛引八幡宮前にある和菓子店「元祖鶴子まんじゅう萬榮堂」が、新商品「幸せの地蔵まんじゅう」を10日に発売する。1世紀続く老舗にも新型コロナウイルス禍の逆風が吹き、3代目代表の松田智司さん(56)も一度は商品化を諦め掛けた。そんな時、背中を押してくれたのは、夢に現れた「幸せを呼ぶまんじゅう地蔵」だった。前を向き、菓子作りに励む松田さんの思いは一つ。「新しいお菓子と巡り会い、世の中に笑顔が広がってほしい」[br][br] 1921年創業の萬榮堂は、郷土の銘菓「鶴子まんじゅう」で知られ、来年で100周年の節目を迎える。2012年に店を建て直した際、新店舗の一角に据え置かれたのが、幸せを呼ぶまんじゅう地蔵だ。[br][br] 地蔵は癒やしの存在で、「店に入ると真っ先に頭をなでに行く人もいるんだよ」と松田さん。いつしか店のパワースポットにもなった。松田さんは100周年に向けた商品として、地蔵をテーマにしたまんじゅうの開発に着手。昨年から試作を重ねてきた。[br][br] だが、予想だにしなかったコロナ危機が萬榮堂を襲う。感染拡大に伴う市民の外出自粛、地元に帰省する人の減少…。主力の鶴子まんじゅうを中心に売り上げが落ち込んだ。新商品開発は3月に中断し、社会情勢を考えて販売を断念することも頭をよぎった。[br][br] 松田さんが悩みに悩んでいた6月のある日、地蔵が夢枕に立った。「にこにこ笑いながら、まんじゅうを食べている姿を見て、コロナに負けず前を向いて進もうと決心した」。[br][br] 鶴子まんじゅうにも夢にまつわる逸話がある。萬榮堂の創業者である松田さんの祖父・萬次郎さんが、櫛引八幡宮に銘菓を授けてほしいと祈願したところ、鶴が舞い降りる夢を見たことから「鶴子」と名付けられたという一説だ。松田さんは不思議な縁を感じつつ、周りの後押しもあって再び新商品開発に乗り出した。[br][br] 完成した幸せの地蔵まんじゅうは粒あん仕立てで、北海道産の小豆を使用。黒糖風味の生地はモチモチした食感が特徴で、一つ一つを手作りで提供する。[br][br] 初代の萬次郎さん、昨年9月に亡くなった父で2代目の萬吉さんの後を継ぎ、松田さんは相伝の技と歴史を守り続ける。「つらくて悩んだ時もあったけど、萬榮堂を愛してくれる人のために頑張らないと」。“幸せのまんじゅう”には、老舗の決意も詰まっている。[br][br] 新商品の販売場所は萬榮堂のみ。価格は1個110円、6個入り商品は780円(いずれも税込み)。発売に先立ち6、7日は、八戸市の三春屋で開催される「大南部と東北の物産展」の特設コーナーで試食販売会を行う。萬榮堂の3代目を担う松田智司さんと「幸せを呼ぶまんじゅう地蔵」=1日、八戸市八幡